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    2022/04/07

    慢性子宮内膜炎のある不妊症女性の腟内では乳酸産生菌の減少が判明_「Diagnostics」で研究論文が掲載(’22/3/31)

    ゲノムテクノロジーを用いた遺伝学的検査を開発・臨床実装するVarinos株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役 桜庭 喜行、以下バリノス)は、リプロダクションクリニック大阪・北宅弘太郎医師(現、医療法人倖生会 身原病院)らと共同研究で、不妊症の女性123名を対象に、慢性子宮内膜炎の有無による細菌叢(さいきんそう)の違いを分析しました。その結果、慢性子宮内膜炎の有無により、乳酸産生菌の占有率に違いがあることがわかり、この研究の論文が3月31日に「Diagnostics 」に掲載されました。

    慢性子宮内膜炎は、不妊症や反復着床不全、反復流産に関連することがわかっています。現在、慢性子宮内膜炎の検査方法は、子宮内膜組織の採取による検査や子宮鏡検査など子宮内への介入が必要、かつ慢性子宮内膜炎であるかの判断基準は医療機関により異なります。

    そこで、腟分泌物あるいは子宮内膜液の菌叢を解析し、慢性子宮内膜炎と判断できる基準値を導き出し、菌叢から慢性子宮内膜炎を予測できないかの研究を行いました。

    その結果、慢性子宮内膜炎のある不妊症女性の腟分泌物には、特定の乳酸産生菌が少ないこと、またこの特定の乳酸産生菌の占有率を用いて、慢性子宮内膜炎と判断するための一定の基準値を設定できる可能性を見出すことができました。これらの結果から、より侵襲性の低い腟分泌液の菌叢解析による慢性子宮内膜炎の予測が期待できるようになりました。

    ◆研究概要

    目的  :  判断基準が医療機関ごとに異なる慢性子宮内膜炎を腟分泌物あるいは子宮内膜液の菌叢から判断できるようにするための研究を行いました

    対象  :   慢性子宮内膜炎の不妊症女性20名、慢性子宮内膜炎のない不妊症女性103名

    分析方法  :   次世代シークエンサーを使用し、腟分泌物と子宮内膜液の菌叢を分析

    結果  :   慢性子宮内膜炎のある不妊症女性においては、腟分泌物の菌叢において、ビフィズス菌を含む4種の乳酸産生菌の割合が少ないこと、また慢性子宮内膜炎と判断するための一定の基準値を設定できる可能性を見出すことができました

    ◆論文概要

    題名  :  Differential Vaginal Microbiota Profiling in Lactic-Acid-Producing Bacteria between Infertile  Women with and without Chronic Endometritis

    著者  :  Suguru E. Tanaka、Yoshiyuki Sakuraba、Kotaro Kitaya、Tomomoto Ishikawa

    掲載媒体  :   Diagnostics

    公開日  :   2022年3月31日

    URL  :   https://www.mdpi.com/2075-4418/12/4/878