• TOP
  • > Contents > 不妊治療と制度 > 不妊治療でも「先進医療特約」は使える?

    Contents

    不妊治療でも「先進医療特約」は使える?

    こんにちは。
    子宮内の菌環境を調べる「子宮内フローラ検査」など、ゲノムテクノロジーを応用した検査の開発・提供をしているVarinos(バリノス)です。

    Varinosの「子宮内フローラ検査」は、2022年7月から先進医療に認定されています。
    先進医療は、保険診療としては、まだ認められていない先進的な医療技術等について、安全性・有効性等を確保するための施設基準等を設定し、保険診療と自由診療との併用を認め、将来的な保険導入に向けた評価を行う制度です。

    不妊治療においても「子宮内フローラ検査」をはじめ、「子宮内膜刺激術」や「タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養」など、先進医療として認められているものがありますが(2022年8月時点)、基本的に全額自己負担です。


    ↓詳細はこちら
    不妊治療にも関係する「混合診療」や「先進医療」とは

    2022年4月から、不妊治療の保険適用範囲が拡大され、費用面での負担が少なくなった方もいらっしゃると思いますが、もしかしたら、もう少し費用面での負担を減らせるかもしれません。

    それが、「先進医療特約」です。

    先進医療特約とは?

    先進医療特約は、主たる保険商品にオプションとして付加できるもので、医療保険やがん保険等の保険商品に付加できることが多いです。

    月掛金は数十円~数百円程度のため、記憶にはなくても、保険契約時にオプションとして先進医療特約に加入している方もいらっしゃるかもしれません。
    (ぜひ、この機会に調べてみてください!)

    ただし、先進医療特約といっても、すべての先進医療を対象としているとは限りません。たとえば、がん保険の先進医療特約は、対象を“がんの先進医療”に限定しています。その場合、不妊治療に関連する先進医療まではカバーされません。

    先進医療特約の保障範囲は?

    先進医療による療養を受けた際の技術料と同額を給付金として受取ることができます。上限額は、通算で1,000万円あるいは2,000万円としているところが多く見受けられました。なお、受取った給付金が上限金額まで達すると特約は消滅するそうです。また、中には、先進医療の技術料だけではなく、受診に必要な雑費にあてられる一時金(見舞金)を保障してくれる保険もあるようですが、金額や条件は保険会社により異なりますし、それも込みで給付金の上限額を設定しているところもあります。

    ちなみに、技術料以外って何?それはどうなるの?と思われた方もいらっしゃるかと思います。これは、以下の記事でもご紹介した保険診療と先進医療の併用の話につながります。

    先進医療の技術料以外の費用、つまり保険診療と共通する部分(診察代など)は公的医療保険の対象となるということで、年齢や収入に応じ負担額は異なりますが、原則、一般成人なら3割負担となります。
    不妊治療にも関係する「混合診療」や「先進医療」とは?

    【注意事項①】加入時とその後では適用される先進医療が変わることも

    先進医療特約で注意したいのは、加入したとき先進医療に入っていた医療が、療養を受けた時点で先進医療ではなくなっている可能性もあるということです。
    先進医療特約の保障対象は、療養を受けた時点で先進医療に該当しているものに限られるというところに注意が必要です。ただし、反対に、保険契約後に新たに先進医療として認められたもの対象になります。
    その時点で、どんな技術が先進医療として認定されているかは、以下から確認できます。

    先進医療の各技術の概要
    https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan03.html

    【注意事項②】先進医療に認定されている“だけ”では、保障の対象にならない

    先進医療特約の給付金支払い対象となるには、療養を受けた時点で以下3つの条件を満たす必要があります。

    1.厚生労働大臣が認める医療技術であること(注意事項①のこと)
    2.医療技術ごとの要件を満たす適応症であること
    3.所定の基準を満たす医療機関での治療であること

    特に注意したいのが、「3」です。
    先進医療として認められた治療や検査であっても、厚生労働省に先進医療を行う機関として届け出されている医療機関以外で実施した場合は、給付金の支払い対象となりません 。

    実は、先進医療というのは、技術が厚生労働省に先進医療として認定され、かつ先進医療として、技術を実施できる施設基準や保険医療機関に係る基準を満たした医療機関が「自分の病院やクリニックで、先進医療として(該当の技術)を行いたいです」と申請し、受理されて初めて患者様に先進医療として技術を提供することができるようになります。

    ↓以下から、先進医療技術名ごとに、どの医療機関が実施しているかをご確認いただけます。
    ※「子宮内フローラ検査」は、【先進医療A】〈番号:27、子宮内細菌叢検査2〉という先進医療技術名で掲載されています。(2022年8月時点)
    https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html

    ただし、受理されてからすぐサイトに反映されるわけではなく、情報更新にタイムラグがあります。そのため、保険会社に給付金の申請をすると、「確認できない」といわれるケースもあるようです。
    その場合は、医療機関に「受理番号」を聞いて保険会社に伝えるという方法もあるようです。

    【注意事項③】詳細は各保険会社に確認

    このページに掲載している内容は、一般的と考えられる内容です。各保険会社、対象保険商品によって、条件や保障範囲・内容は異なります
    契約中の保険に後から先進医療特約を付加できるかなども、保険会社やご契約状況によって変わってきます。

    詳細については、ご自身の加入する保険会社あるいは加入を検討している保険会社にお問合せください。

    この記事の監修者

    Varinos株式会社
    創業者 代表取締役CEO
    桜庭 喜行

    埼玉大学大学院で遺伝学を専攻。博士取得後、理化学研究所ゲノム科学総合研究センターでのゲノム関連国家プロジェクトや、米国セントジュード小児病院にて、がん関連遺伝子の基礎研究に携わる。その後、日本に初めて母体血から胎児の染色体異常を調べるNIPTと呼ばれる「新型出生前診断」を導入したほか、医療機関や研究機関に対し、NIPTやPGT-Aと呼ばれる着床前診断などの技術営業を経て、2017年2月にゲノム技術による臨床検査サービスの開発と提供を行うVarinos株式会社を設立。同年、子宮内の細菌を調べる「子宮内フローラ検査」を世界で初めて実用化するなど、生殖医療分野の検査に精通。