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    低刺激法による採卵で卵巣をいたわりながら高度な不妊治療を実施_新橋夢クリニック・瀬川智也院長

    こんにちは。
    子宮内の菌環境を調べる「子宮内フローラ検査」など、ゲノムテクノロジーを応用した検査の開発・提供をしているVarinos(バリノス)です。

    不妊治療に向き合う医師に直接お話を聞かせていただくインタビュー企画を開始しました。

    初回は、“低刺激法による採卵”を行われており、卵巣をいたわりながら不妊治療を行いたいという方から支持されている新橋夢クリニック・瀬川院長に
    ◇低刺激法による採卵とは
    ◇胚移植による妊娠成績
    ◇不妊治療を始める前にセルフケアとしてできること
    ◇どういう方に子宮内フローラ検査を勧めていらっしゃるか

    などを伺いました。

    妊娠率向上と患者の負担を軽減する「小卵胞(しょうらんぽう)採卵」

    ―新橋夢クリニックに来院される患者様はどういった方が多い傾向にあるのでしょうか。

    瀬川先生:
    当クリニックは、JR「新橋」駅と都営三田線「内幸町」駅から歩いてすぐという立地的に、働いている方が4分の3くらいを占めています。年齢としては、40歳前後の方が多く、初めて不妊治療をされる方と他のクリニックからの転院が半々というところです。最近の変化としては、以前は、お近くのクリニックで治療を行いうまくいかなかった場合、当クリニックに来院される方が多かったように思いますが、保険適用範囲が広がったとはいえ、体外受精や顕微授精には回数制限がありますので、患者さんもいろいろと調べた上で最初から当クリニックにお越しになる方が増えている印象です。

    ―他のクリニックと異なる特徴を教えてください。

    瀬川先生:
    「小卵胞採卵(しょうらんぽうさいらん)」です。低刺激で小さい卵胞(10mm未満)からも卵子を回収する方法です。一般の不妊治療クリニックでは、16mm以上の大卵胞内にある卵子のみを採取します。
    そのため、卵巣機能が低下している患者さんにも卵胞を増やすため、排卵誘発剤を大量に投与していますが、これは卵子の枯渇を早めてしまいます。そこで、当クリニックでは、排卵誘発剤の使用を極力抑える目的で小卵胞採卵を行っています。小さな卵胞を採卵するため、使用する針も一般のものより細い針を当クリニック特注で作っています。
    結果、小卵胞の回収を増やすことができるようになり採卵周期あたりの妊娠率が向上しています。また針が細いので、患者さんの痛みや出血が少なくて済むのも特徴です。

    他のクリニックではなく、当クリニックを選ばれる方は、やはり低刺激で卵巣をいたわりながら治療したいという方が多いです。

    また、流産予防にも力を入れています。胚(受精卵)以外の問題での流産を予防するため、妊娠後のホルモン管理や診察の頻度を高めるということをしています。

    保険診療においては、体外受精から取り組む方が良い面も

    ―貴クリニックでは、どのように不妊治療を進めていかれるのでしょうか。

    瀬川先生:
    患者さんの状況によっても異なりますが、まだ検査や治療を何もされていない方の場合、タイミング法や人工授精から始めることもあります。ただ、保険適用には条件や回数制限があります。例えば卵巣にどのくらい卵子が残っているかを調べるアンチミューラリアンホルモン(AMH)検査も保険適用にはなっていますが、体外受精に伴う卵巣刺激法における投与量の判断のために行う場合に限り適用となっており、卵子がどのくらい残っているかを調べる卵巣予備能を調べたい場合は従来通り自費診療となります。また、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方は、通院回数が増えると保険適用外となってしまいます。こういったことから、体外受精のほうが保険診療においては治療しやすい面もあります。

    そして、長い間、妊活に取り組まれても妊娠できず、早くお子さんが欲しいという方は、体外受精から入られるのもよいと思います。
    患者さんには、こうした説明をした上で、どうしたいかを選択してもらいます。

    ※アンチミューラリアンホルモン(AMH)とは:
    卵巣にどのくらい卵子が残っているかを調べる検査。採血により、血中のAMH値を測定。原始卵胞という卵巣内に蓄えられている卵胞の数が少なくなると、AMHの値が低くなる。抗ミュラー管ホルモンともいう。

    卵子は卵巣で毎回新たに作られるのではなく、“保有する数”というのがあり、閉経に向けどんどん減っていく。女性が生まれた時には200万個くらいあるとされているが、思春期には10~30万個になり、月経が始まると毎月1,000個くらいずつ減少。閉経前頃には1,000個くらいになっているといわれる。

    ※多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは:
    多数の卵胞が排卵されず卵巣にとどまる疾患。卵巣で男性ホルモンがたくさん作られることが原因と考えられている。血液検査でのホルモン測定や超音波検査などにより診断。
    女性の20〜30人に1人の割合でみられる。

    良好胚を2回移植しても妊娠につながらない場合は、子宮内フローラ検査を実施

    ―貴クリニックでは、不妊治療の過程で、どのような方・どのようなタイミングで「子宮内フローラ検査」を勧められていますか。

    瀬川先生:
    良好胚を2回移植しても妊娠反応がでない、あるいは妊娠反応が弱い(初期の流産や子宮外妊娠など)場合、子宮内フローラ検査を勧めることが多いです。検査を受けていただくと、半数以上の方が善玉菌・ラクトバチルスが少ないなど、異常という結果が出ているように思います。

    多くの場合、1~2か月のサプリメント摂取で子宮内フローラが改善

    ―子宮内フローラ検査の結果が良くなかった場合、どのような治療をされるのでしょうか。

    瀬川先生:
    内服のサプリメントを勧めるのと、結果によっては抗生剤を処方します。
    サプリメントは、プロバイオティクス(善玉菌自体)とプレバイオティクス(善玉菌のエサとなるもの)の両方を勧めることが多いです。

    プロバイオティクスは、ラクトバチルス自体の内服です。海外からの輸入ものもありますが、当クリニックでは、患者さんに安心して飲んでいただくためにも、国内メーカーのものを勧めています。もともと美容や便秘改善を目的に販売されていたものなのですが、おりものをきれいにする効果もあるということで、腟内の菌環境が良くなるのであれば、子宮内にもよいのではないかと導入したところ、やはり改善効果があることがわかったためです。

    プレバイオティクスはラクトフェリンです。こちらも、国内のメーカーから販売されているものを数種類取り扱っており、その中から患者さんに選んでいただいています。

    ―治療の結果、どのくらいの期間で子宮内フローラの状態が改善されていますか。

    瀬川先生:
    前述のサプリメントの摂取により、多くの方が1~2か月で改善します。改善した後については、流早産予防のために産科的にも飲み続けるとよいと聞くので、患者さんに聞かれた際は、飲み続けても良いと話しています。
    ただ、一部しつこく残る細菌もあり、子宮内フローラ検査でそういった結果がでた場合は、抗生物質も処方しています。

    二人目不妊は妊娠・出産による子宮内フローラの乱れが関係している可能性も

    ―子宮内フローラ検査で、結果が良くない方の共通点はありますか。

    瀬川先生:
    一人目は自然妊娠できたのに、二人目はなかなかできないという方がいます。そういう方は出産が原因で子宮内フローラの状態が悪くなってしまっている可能性もあると考えます。例えば、妊娠中に羊水の量が減ったり、本来は生まれてから排泄する胎便が出てしまうことで羊水が汚れてしまう、あるいは出産時の破水などにより、細菌に感染してしまうこともあります。子宮内膜炎はそもそも自覚症状もありませんので、そのまま経過してしまうこともあります。

    二人目の不妊治療に関しては、保険適用の範囲内で行いたいという方も多いのですが、子宮内フローラ検査も先進医療に認定され、保険診療と一緒に検査を行うことができるようになりましたので(※)、今後は患者さんの希望を伺いながらですが、二人目不妊で悩まれている方には、すぐ治療するのではなく、まず子宮内フローラ検査を行ってもよいのではないかと考えています。

    ※ 子宮内フローラ検査(子宮内細菌叢検査2)は2022年6月30日に先進医療に認定され、7月から適用に。保険診療と自由診療の併用は「混合診療」といって原則禁止されており、保険診療分も全額自己負担となる。ただし、先進医療に認定されている医療技術については、保険診療と一緒に受けることができ、その場合、保険診療の3割負担はそのままに子宮内フローラ検査のみ全額自費となる。

    先進医療に関しての詳細は☟
    不妊治療にも関係する「混合診療」や「先進医療」とは

    また、二人目の妊娠は計画的にされようとしている方も多いと感じます。一人目不妊治療で出産された方も、一人目は自然妊娠で出産したが二人目はなかなか妊娠しないという方も、不妊治療を行う前に、ご自身でサプリメントを摂取し、子宮内フローラを改善してから来院されると治療のステップが早いかもしれません。来院の1~2か月前には飲み始めていると良いと思います。

    ―そのほかにやっておくと良いこと、あるいはやらないほうが良いことがあれば教えてください。

    瀬川先生:
    当クリニックは低刺激での採卵を行っていますので、高刺激での採卵を行った後ですと、卵巣がはれてしまっていることもあり、卵巣の状態を立て直すのに時間がかかります。また、年齢が進むと卵巣機能もダウンしてしまいます。無理な治療はされないほうが良いと思います。

    2022年7月の妊娠・卒業患者数は、60名以上に

    ―「2017~2019年の胚移植の成績」を公開されていますが、最近の状況はいかがでしょうか。

    瀬川先生:
    2022年7月の妊娠・卒業患者数は、以前の2倍近くのペースになっています。具体的には、1か月で60人以上の方が、妊娠・卒業されました。当クリニックでは妊娠後、9~10週まで診ていますので、そこまで順調に経過した方の人数です。

    4月から不妊治療の保険適用が始まり、来院される方の人数も増えましたし、金銭的に体外受精にステップアップできなかった比較的若い方も増えたということもあると思います。
    女性の年齢が若いと染色体の正常な胚が多くなるので、妊娠しやすいといえます。

    保険適用が始まったという変化もありますが、患者年齢別の妊娠率でみると2017~2019年の成績と傾向は変わっていないと思います。

    新橋夢クリニックより

    ―かなり詳細に実績を公開されていらっしゃるのですね。

    瀬川先生:患者さんが知りたいのは妊娠率だと思うので、それを公開しないのは誠実ではないですよね。患者さんを集めての説明会はできなくなってしまっていますが、動画を作りいつでもみられるようにしています。それだけではわかりづらいと思い、印刷してじっくりみていただけるように資料も公開しています。

    詳細はこちらから↓
    https://www.yumeclinic.net/session/artweb.html

    “負担は少なく、妊娠率は高く”と、日々患者様に寄り添いながら、治療にあたっていらっしゃることがとてもよくわかりました!
    瀬川先生、ありがとうございました。

    ≪瀬川智也(せがわ ともや) 医師プロフィール≫

    石川県出身
    1992年 金沢大学医学部卒業後、同大学医学部産婦人科学教室に入局
    1995年 福井県立病院産婦人科副医長
    1996年 市立輪島病院産婦人科医長
    1997年 金沢大学医学部産婦人科助手
    2003年 医学博士
    2004年 加藤レディスクリニックに勤務
    2010年 新橋夢クリニックに勤務
    2011年 同 副院長・理事に就任
    2016年 同 院長・理事に就任

    日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
    日本生殖医学会認定生殖医療専門医
    日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医
    日本A-PART学会 理事

    ≪「新橋夢クリニック」について≫

    クリニック名:医療法人社団 永遠幸 新橋夢クリニック
    院長:瀬川 智也 医師
    住所:〒105-0004
    東京都港区新橋2丁目5番1号 EXCEL新橋
    HP URL:https://www.yumeclinic.net/