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    【ラクトフェリン】腸溶性と非腸溶性で効果の違いは?

    ラクトフェリンサプリメントには、腸溶性と非腸溶性がある。目的に合わせて正しい選択を

    近年、注目を集める栄養素・「ラクトフェリン」。
    食品から十分な量を摂取するのが難しいラクトフェリンをサプリメントで摂取することを検討されている方も多いのではないでしょうか。

    しかし、サプリメントであれば、どれも効果は同じというわけではありません。
    実はラクトフェリンサプリメントは「腸溶性」と「非腸溶性」のものが存在し、それぞれ作用機序が異なります。

    そこで、今回は
    ・ラクトフェリンとはどんな栄養素か?
    ・腸溶性と非腸溶性でラクトフェリンの効果の違い
    ・ラクトフェリンサプリメントの選び方

    などについて、ご紹介します。

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    ラクトフェリンとは

    ラクトフェリン(Lactoferrin)は、鉄と結合する性質をもった多機能性の鉄結合性糖タンパク質です。「ラクト(lact)=乳」×「フェリン(ferrin)=鉄」が名前の由来とされていますが、ラクトフェリン自体、少し赤みがかった色をしていることから「赤いタンパク質」とも言われます。

    抗菌・抗ウイルス活性や腸内細菌のバランスを整える作用、鉄吸収調節作用など様々な効果が期待されている栄養素です。

    ラクトフェリンは牛乳をはじめ、多くの哺乳類の乳に含まれており、特に初乳(赤ちゃんを産んでから最初に出る乳)に多く、また、哺乳類の中でも人間の乳にラクトフェリンが多く含まれていることがわかっています。
    赤ちゃんは胃の消化機能が未熟なため、母乳中のラクトフェリンは分解されることなく腸まで届き吸収され赤ちゃんを守っています。

    乳以外では、外気に触れる機会の多い、涙、唾液、粘液、子宮頸管粘液などに含まれています。
    成人が赤ちゃんのようにラクトフェリンを補いたいと思っても、胃液や熱に弱い性質のラクトフェリンを食品から十分な量を摂取するのは難しいと言えます。

    そのため、ラクトフェリンを効率的に摂取したい場合は、サプリメントを検討するのもお勧めです。

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    腸溶性と非腸溶性によるラクトフェリンの効果の違い

    ラクトフェリンサプリメントには、腸溶性と非腸溶性のものがあります。
    腸溶性と非腸溶性では、期待できる効果が異なります。

    腸溶性と非腸溶性の違いを理解し、ご自身の目的に応じたサプリメントを選ばれるとよいでしょう。

    腸溶性ラクトフェリンに期待されること

    腸溶性の意味とは

    腸溶性とは、胃液により胃で溶けず、腸まで届いて溶けることを意味します。
    錠剤以外に、カプセル剤の腸溶性ラクトフェリンサプリメントもあります。

    ラクトフェリンは腸の表面にある受容体と結合することで効果が最大化する

    ラクトフェリンを腸まで届ける理由

    「ラクトフェリンは腸まで届けるのが大事」
    「だから腸溶性のサプリメントを選んだ方がよい」
    とご存じの方もいるかもしれません。

    ただ、厳密にいうと、例えば、子宮内フローラなど腸以外の場所でラクトフェリンの効果を得たい場合は、腸溶性ラクトフェリンを選ぶ必要があります。

    なぜなら、ラクトフェリンは腸の表面にある「受容体(レセプター)」と結合することで、体内に吸収されその情報が細胞に伝わり様々な部位で効果が表れると考えられているからです。

    胃の消化機能が未熟な赤ちゃんは、ラクトフェリンの受容体が存在する腸までラクトフェリンが届きますが、消化管の機能が発達した大人は、腸溶性加工がされていないラクトフェリンを摂取してもほとんどが胃で分解されてしまい、腸にあるレセプターに届きません。

    *受容体:外界の物質や体内からの何らかの刺激を認識して、細胞に応答を誘起する構造体。

    ラクトフェリンサプリメントが腸溶性加工してあるときとしていないときの違い

    非腸溶性ラクトフェリンサプリメントに期待されること

    非腸溶性のラクトフェリンは、胃液により「ラクトフェリン分解物」に変性します。ラクトフェリン分解物には抗菌ペプチドが含まれていると言われています。
    ラクトフェリン分解物は腸まで到達してもラクトフェリンの受容体とは結合しません。ラクトフェリンとは別のものになっているからです。

    そのため、抗菌作用や腸へのはたらきを期待しラクトフェリンを摂取する場合は、非腸溶性でも良いということになります。

    ラクトフェリンは胃液によって、ラクトフェリン分解物に変性

    ラクトフェリンサプリメントを選ぶ際のポイント

    ≪1≫腸溶性か非腸溶性かを確認する

    上記でお伝えしたように、腸溶性と非腸溶性で作用機序が異なります。
    ご自身がサプリメントでラクトフェリンを使って補いたい目的に応じ、選択するとよいでしょう。

    なお、多くの場合、腸溶性のラクトフェリンは商品ページに腸溶性といった記載があり、かつ、原材料名に、腸溶コーティング成分である、シェラック、アルギン酸Naなどの記載があります。

    ≪2≫適切な量が配合されていること

    特に複数の栄養素が摂取できるサプリメントの場合、ラクトフェリンが少量しか入っていない場合があり、期待する効果を得づらいことがあります。ラクトフェリンの量を意識してたくさん摂取すると他の栄養素が過剰摂取となってしまうこともあるので、注意が必要です。
    ラクトフェリン摂取が目的である場合は、その効果が期待できる量を摂取できるサプリメントを選ぶと良いでしょう。

    ≪3≫安心・安全の製造

    サプリメントは、長期間口にするものです。安心・安全面では*GMP(Good Manufacturing Practice)などの工程管理基準をクリアしているかも一つの指標になります。また、企画・販売している会社(メーカー)が信頼できる会社などを確認されるのも一つの手です。

    *GMP(Good Manufacturing Practice)とは、公益財団法人日本健康・栄養食品協会日本健康・栄養食品協会 または一般社団法人日本健康食品規格協会が厚生労働省の支援 を受けた第三者認証制度で、原料の受入,製造,出荷までの各工程で安全に製造され、一定 の品質が保たれるために必要な工程管理基準です。

    ラクトフェリンサプリメントを飲むタイミング

    腸溶性のサプリメントの場合、飲む回数やタイミングに決まりはありません。一度に一日の摂取目安量をまとめて飲まれても、複数回にわけてお飲みいただいても問題ありません。飲むタイミングを決めたら、効果や飲み忘れ防止の観点から、毎日決まった時間に摂取されるとよいでしょう。

    ラクトフェリンサプリメントの摂取量と副作用

    ≪ラクトフェリンの摂取量≫

    ラクトフェリンの摂取量について、明確な基準は設けられていません。
    お身体の状況や目的に合わせ、摂取量を検討されるのが良いでしょう。

    ≪ラクトフェリンの摂取量を検討する際のポイント≫

    1.かかりつけ医がいる場合は相談する

    2.サプリメントに記載されている目安量の範囲内にする

    3.目的と合致する臨床研究の論文で使用された量を参考にする

    なお、妊活や不妊治療において、子宮内フローラ改善目的でラクトフェリンを摂取する場合、臨床研究で使用されている量の300~700mg/日を目安にされるとよいでしょう。

    ≪ラクトフェリンの副作用≫

    現時点で、ラクトフェリンによる重大な副作用の報告はありません。
    ただし、ラクトフェリンサプリメントは牛乳を原料としているため、乳アレルギーがある方は事前に医師に相談いただき、自己判断での摂取は控えてください。
    同様に薬を服用中の方や病気の治療で通院されている方なども事前に医師にご相談いただいてから摂取するのが良いでしょう。

    「ラクトフェリンの腸溶性と非腸溶性」のまとめ

    ●ラクトフェリンは熱や胃液に弱い栄養素。食品から十分な量を摂取するのが難しい。
    ●ラクトフェリンサプリメントには、腸溶性と非腸溶性がある。腸への効果を期待しているのか、腸以外へも効果を期待しているのかで、どちらが適しているか異なる。腸溶性加工がされているサプリメントは、錠剤やカプセル剤などがある。
    ●ラクトフェリンのサプリメントの摂取量に明確な基準は設けられていない。
    ●現時点で、ラクトフェリンサプリメントの重大な副作用は報告されていない。

    この記事の監修者

    Varinos株式会社
    創業者 代表取締役CEO
    桜庭 喜行

    埼玉大学大学院で遺伝学を専攻。博士取得後、理化学研究所ゲノム科学総合研究センターでのゲノム関連国家プロジェクトや、米国セントジュード小児病院にて、がん関連遺伝子の基礎研究に携わる。その後、日本に初めて母体血から胎児の染色体異常を調べるNIPTと呼ばれる「新型出生前診断」を導入したほか、医療機関や研究機関に対し、NIPTやPGT-Aと呼ばれる着床前診断などの技術営業を経て、2017年2月にゲノム技術による臨床検査サービスの開発と提供を行うVarinos株式会社を設立。同年、子宮内の細菌を調べる「子宮内フローラ検査」を世界で初めて実用化するなど、生殖医療分野の検査に精通。