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    不妊治療で使える高額療養費制度とは?対象範囲や申請方法を解説


    *高額療養費制度は2026年8月と2027年8月の2段階で制度が見直され、自己負担上限額の引き上げなどが実施されます。今回は、2026年8月の見直し内容を反映した内容に修正しています。(2026年8月)

    2022年4月から、人工授精、体外受精、顕微授精などの不妊治療にも、公的医療健康保険が適用されるようになりました。保険診療として受ける場合、医療費の自己負担割合は原則3割となり、治療費の負担が軽くなる方もいます。
    しかし、もしかしたら、もっと金銭的負担を減らせるかもしれません。それが「高額療養費制度」です。不妊治療が保険適用となったことで、条件によっては、「高額療養費制度」も使えるようになりました。

    この記事では、不妊治療における高額療養費制度の対象範囲、負担軽減額のシミュレーション、申請方法、利用時の注意点を分かりやすく解説します。

    執筆者:Varinos編集部

    目次

    2022年4月より不妊治療でも高額療養費制度が使えるように

    高額療養費制度は、保険診療による1か月(1日から月末まで)の自己負担額が一定の上限を超えた場合に、その超過分が支給される制度です。

    公的医療保険(協会けんぽ・健康保険組合、共済組合、国民健康保険など )に加入しているすべての方が対象となり、公的医療保険制度に基づき、年齢と所得に応じた自己負担限度額が設定されています。

    高額療養費制度とは

    保険診療の場合、自己負担額は3割負担となりますが、それでも不妊治療による経済的負担は大きいため、高額療養費制度もあわせて活用することにより、さらに金銭的な負担を軽減できることがあります。

    所得に応じた自己負担限度額

    自己負担限度額は、年齢と所得に応じ決められています。

    2026年8月からは医療費適正化と長期療養者への配慮を目的とした見直しが行われ、月単位の上限額の調整とともに、長期治療者の負担を抑える「年間上限額」が新たに創設されました。

    また、過去12か月以内に高額療養費の支給を3回以上受けた場合、4回目以降は「多数回該当」となり、月額上限が引き下げられます

    70歳未満の方は、以下の表を参考に、ご自身の自己負担額を確認することができます(所得区分は、本人または扶養されている家族の会社で健康保険に加入している場合)。

    高額療養費の所得に応じた自己負担限度額
    出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)

    なお、国民健康保険に加入している方の場合は、所得区分が標準報酬月額ではなく所得に応じた区分となりますので、市区町村のホームページ等でご確認ください。
    また、健康保険組合に加入している方の場合は、高額療養費に加え、健康保険組合独自の「付加給付」という制度があることがあります。付加給付がある場合は、高額療養費よりも低い自己負担額(例えば2万円~5万円程度で組合毎に設定)があり、その限度額を超えた額がさらに支給(返金)されます。
    加入している公的医療保険制度に応じた違いがありますので、確認をしておきましょう。

    不妊治療における高額療養費制度の適用範囲

    不妊治療の場合、保険診療として認められている治療はこの制度の対象となります。

    人工授精や体外受精、顕微授精も保険診療で行う場合は高額療養費制度の対象

    2022年4月より、それまで自由診療として行われていた人工授精(AIH)や体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)も、一定の条件下では保険診療の対象となり、これに伴い高額療養費制度を利用することが可能となりました。

    ただし、不妊治療における保険適用は、年齢や治療回数の制限が設けられており、特定の回数を超える治療は保険適用外となります。その場合、高額療養費の対象外となる点に注意が必要です。

    (参考)不妊治療において、保険が適用される年齢と年齢に応じた回数

    初めての治療開始時点の女性の年齢が
    40歳未満の場合:子ども一人に対して最大6回まで
    40歳~43歳未満の場合:子ども一人に対して最大3回まで

    不妊治療で保険が適用される年齢や回数の制限についての説明

    Point

    ・回数は「胚移植」の回数でカウントします。
    ・妊娠12週未満での流産は、胚移植の回数1回にカウントします。
    ・妊娠 12 週以降に死産に至った場合や出産に至った場合はリセットされ、改めて年齢に応じた回数が保険適用となります。
    ・治療中に43歳を迎えた場合、その周期の胚移植で保険診療は終了となります。

    高額療養費制度の支給申請の期限

    高額療養費制度の支給申請の期限は、原則として、診療を受けた月の翌月の初日から2年です。

    2年間の消滅時効にかかっていない高額療養費は、過去に遡って支給申請することができます 。

    なお、

    事前に「限度額適用認定証」を加入している公的医療保険制度から発行してもらい医療機関に提出すること、または、マイナ保険証(健康保険証利用登録を行ったマイナンバーカード)を使用することにより、窓口での支払い額を限度額までとする方法があります

    ので、一つの医療機関での入院等で医療費が高額になる見込みがある場合にはぜひそちらを利用してください(後半でご説明します)。

    不妊治療で高額療養費が使えない場合とは?

    不妊治療で行うすべての診療が対象になるわけではありません 。

    高額療養費が使えないものについて説明

    自由診療での不妊治療や先進医療は対象外

    繰り返しですが、高額療養費制度は、保険診療の範囲でのみ適用されます。そのため、

    自由診療として行われる不妊治療や、保険適用外の先進医療はこの制度の対象外です。

    不妊治療の先進医療とは?

    先進医療とは、厚生労働省から保険診療との併用を認められた高度な医療技術です。
    現在、先進医療として認定されている医療技術は以下のリンクからご確認いただけます。

    厚生労働省:先進医療ごとに適応症と技術の概要のまとめ

    参考記事
    ▶不妊治療の先進医療とは?内容と現状、そして今後の見通しについて解説

    不妊治療に関連する先進医療は、高額療養費制度の対象にはなりませんが、様々な自治体が助成をしてくれるようになってきています。

    ▼【全国一覧】不妊治療の先進医療も助成してくれる地域は?

    さらに、医療保険やがん保険等の保険商品に付加できることが多い先進医療特約に加入している場合、先進医療による療養を受けた際の技術料と同額を給付金として受取ることができます。*
    *加入されている先進医療特約が不妊治療の先進医療もカバーしているかは、契約内容にてご確認ください。

    参考記事
    ▶不妊治療でも「先進医療特約」は使える?

    「差額ベッド代」「入院食」は対象外

    差額ベッド代とは、大部屋ではなく、特別療養環境室と言われる個室や少人数の部屋を希望した際に発生する費用です。差額ベッド代は、公的医療保険の適用対象外である選定療養に分類されています。保険診療との併用は認められてはいますが、全額自費負担となります。

    また、入院中の食事代は、健康保険から支給される入院時食事療養費と患者様が支払う「標準負担額」でまかなわれます。患者様が支払う標準負担額は、2026年6月から1食あたり550円となっています。この標準負担額は、自己負担となり、高額療養費の対象から除外されます。
    なお、住民税の非課税世帯の方など一部の方は「標準負担額」が軽減されます。

    医療機関/医科・歯科/入院・外来別に月21,000円未満の場合は対象外

    70歳未満の場合、受診者ごと、医療機関ごと、医科・歯科別、入院・外来別に自己負担額を計算し、

    それぞれの自己負担額が同一月に21,000円以上となるものを合算します。

    例えば、一人が同一月に複数の医療機関を利用した場合、以下のようになります。
    (金額は1か月あたりの保険診療の自己負担合計額 *B病院のみ保険診療と先進医療を併用)

    A病院:
    (医科・通院)19,800円 ←高額療養費制度の対象にならない
    (入院)

    55,000円

    ←高額療養費制度の対象になる

    ①(医科・外来)35,000円+②(先進医療)78,000円

    ☝保険診療と先進医療を併用した場合
     ①高額療養費制度の対象になる、②高額療養費制度の対象にならない

    C病院:
    (医科・外来)20,500円 ← 高額療養費制度の対象にならない
    (歯科・外来)5,500円 ← 高額療養費制度の対象にならない

    高額療養費の対象となる自己負担の合算は、

    55,000円

    +

    35,000円

    =90,000円となります。

    高額療養費を算出する際の考え方

    これが、高額療養費制度の対象となり、自己負担限度額を超過した部分が高額療養費として払い戻されます 。

    後述する「世帯で合算」する制度もありますので、そちらも参照してください 。

    高額療養費制度の活用で、実際どれくらい費用負担が軽減できる?

    窓口で1か月(1日から末日まで)に30万円の自己負担額(3割負担)を支払ったケースについて、70歳未満で所得区分が「ウ」に該当する場合を例にシミュレーションした結果は、以下のとおりです。

    シミュレーション

    1ヵ月の総医療費(10割):

    1,000,000円

    窓口負担割合(3割):

    300,000円

    *全て高額療養費の対象として計算

    自己負担限度額(月額上限):
    70歳未満で所得区分が「ウ」の場合

    85,800円+(

    1,000,000円

    -286,000円)×1%=

    92,940円

    この自己負担限度額(月額上限)を超える部分は、高額療養費として支給されます。限度額適用認定証やマイナ保険証を利用した場合は、窓口での支払いがあらかじめ自己負担限度額までとなることがあります。

    この場合の払い戻される金額は

    300,000円

    92,940円

    =207,060円
    となります。

    つまり、高額療養費制度により207,060円が支給されるため、通常であれば300,000円となる自己負担額は、最終的に92,940円となります。

    なお、過去12か月以内に高額療養費の支給を3回以上受けた場合は、4回目以降について「多数回該当」が適用されます。これにより自己負担限度額(月額上限)が下げられ、所得区分「ウ」の場合は44,400円となります。


    限度額適用認定証・マイナ保険証による負担軽減制度とは?

    高額療養費制度は、まずは患者様が医療機関等に支払いをし、後日申請することで、1か月(1日から月末まで)に支払う医療費の自己負担限度額を超えた金額が払い戻される制度です。

    医療機関等への支払いが高額になると見込まれる場合は、限度額適用認定証を利用するか、オンライン資格確認に対応した医療機関等でマイナ保険証を提示し、限度額情報の提供に同意することで、原則、窓口での支払いをは自己負担限度額までに抑えられます。

    高額療養費制度は後から払い戻されるとはいえ、一時的にまとまった額を支払わなければならない場合もあります。また、医療機関等から提出される診療報酬明細書の確認が必要なため、払い戻しまで診療月から3か月以上かかる場合もあるとされています。

    限度額適用認定証は、申請書を受け付けた月の1日(資格を取得した月の場合は資格取得日)から最長で1年間有効なため、一定期間あるいは複数の月で、医療機関等への支払いが高額になる見通しの場合、申請しておくと支出を抑えるとともに、手間を省くことができます。ただし、院外薬局の費用負担があった場合は病院の支払い上限に合算されていないことや、複数の医療機関または家族の合算制度を使う場合には限度額認定証では対応できないので、後日、高額療養費の申請書を提出し精算(払い戻し)する方法のみとなります。

    総医療費が100万円で、窓口負担(3割)が30万円かかる場合のシミュレーション

    マイナポータルから医療費(保険診療にかかった費用)の「窓口負担相当額」と「保険者の負担額」も確認することができます。

    不妊治療は中長期で取り組まれることが多いため、高額療養費制度や限度額適用認定証(または、マイナ保険証による確認)などを上手く活用されるとよいでしょう。

    高額療養費の申請手続きと注意点

    必要書類や申請手順(限度額適用認定証・マイナ保険証による負担軽減制度を使わなかった場合)

    高額療養費制度を利用するためには、公的医療保険(協会けんぽ・健康保険組合や共済組合、国民健康保険など)に申請を行う必要があります。申請に必要な書類は、各サイトで確認することができます。

    参考)全国健康保険協会(協会けんぽ)

    診療明細と領収書は必ず保管

    治療を受けた病院から渡される診療明細書と領収書を必ず保管しましょう。これらの書類は、高額療養費の申請時や医療費控除の申請時、また個人で加入されている医療保険等の給付金申請時にも必要となる大切な書類です。

    医療費控除との違い~高額療養費との併用は可能?

    高額療養費制度と医療費控除は、どちらも医療費の負担を軽くする制度ですが、仕組みが異なります。高額療養費は、自己負担限度額を超えた保険診療分が支給される制度です。一方、医療費控除は、一定額を超えた医療費を所得から差し引いて税額を計算する制度であり、支払った医療費がそのまま戻るものではありません。

    高額療養費と医療費控除の違い

    高額療養費:
    [申請・申告先]加入している医療保険者(協会けんぽ・健康保険組合、共済組合、国民健康保険など)
    [対象期間]月初~月末の1か月
    [対象となる医療]保険診療
    [内容]所得に応じた自己負担限度額を超える医療費の払い戻しが行われる

    医療費控除:
    [申請・申告先]税務署
    [対象期間]1/1~12/31の1年間
    [対象となる医療]保険診療に加え、保険適用外の医療費等も含まれる(美容や健康増進などが目的の場合は対象外。対象となるものはこちら を参照ください。)
    [内容]医療費が一定額(10万円または総所得金額等が200万円未満の方は、総所得金額等の5%)を超えた場合に、その超過分が課税される所得金額 から控除される

    高額療養費と医療費控除の違いを記載した表

    高額療養費と医療費控除の併用について

    高額療養費制度を利用して医療費の一部が払い戻された場合でも、

    残りの自己負担額や自由診療で発生した医療費(美容や健康増進などが目的のものは除く)は、医療費控除の対象となります。

    そのため、両者を併用することで、さらに負担を軽減することが可能です。

    ※高額療養費として支給を受けた金額は医療費控除の対象から除かれます。また、高額療養費以外にも給付を受けていれば、医療費から除かれる場合があります。

    不妊治療で高額療養費制度を活用する際のよくある疑問

    2026年8月からの制度改定で、不妊治療の負担はどう変わる?

    月単位の基本限度額が一部調整されましたが、治療が長期化した場合の「多数回該当」の金額は低く維持され、新たに「年間上限額」が設けられました。そのため、体外受精や複数回の採卵・移植など、中長期的に不妊治療を継続される方にとっては、年間を通じたセーフティネット機能が強化されています。

    例)区分ウの場合、入院と外来を合わせた年間上限(世帯ごと)は、530,000円となりました。

    専業主婦の場合、高額療養費制度はどのように申請するのか?

    夫の健康保険の扶養に入っている場合、その医療保険に対して申請を行うことになります。
    また、高額療養費には、「世帯合算」という方法があり、同一世帯内で自己負担額(※)を合算し、世帯所得に基づいた限度額を超えれば高額療養費制度を利用できます。この場合の「世帯」は住民票上のくくりではなく、同じ公的医療保険に加入し、保険証の記号番号まで同じ場合、「世帯」とされます。(例えば、夫婦で一緒の家に住んでいても、共働きで、それぞれ別の公的医療保険に加入している場合、世帯合算はできませんので、妻本人のみを対象とし申請します。)
    専業主婦等は多くの場合、夫が加入する公的医療保険に扶養家族として加入しているかと思いますが、その場合は、夫と妻は世帯合算できることになりますし、夫が自営業で夫婦共に国民健康保険に加入している場合も合算できます。

    (※)70歳未満の場合、受診者ごと、医療機関ごと、医科・歯科別、入院・外来別に自己負担額を計算し、それぞれの自己負担額が同一月に21,000円以上となるものを合算します。

    シミュレーション

    夫の所得区分が「ウ」で、夫・妻ともに70歳未満という条件で
    1か月でかかった保険診療の窓口負担が以下の場合

    夫/A病院:(医科・外来)30,000円
      B病院:(医科・外来)42,000円
    夫合計/
    [(高額療養費の対象となる)窓口負担(3割)]72,000円
    [総医療費(10割)]100,000円+140,000円=240,000円

    妻/C病院:(医科・外来)270,000円
      D病院:(医科・外来)12,000円 ←合算対象外
      E病院:(歯科・外来)21,000円
    妻合計/
    [(高額療養費の対象となる)窓口負担(3割)]291,000円
    [総医療費(10割)]900,000円+70,000円=970,000円

    夫と妻の1か月の高額療養費の計算対象額
    夫と妻の1か月の高額療養費の計算対象となる自己負担額は、72,000円+291,000円=363,000円です。なお、妻のD病院分12,000円は、70歳未満の合算基準である21,000円に満たないため含めません。
    総医療費(10割):240,000円+970,000円=1,210,000円

    自己負担限度額:
    85,800円+( 1,210,000円 -286,000円)×1%= 95,040円
    95,040円 を超えた分が高額療養費の払い戻し額となります。
    この場合の払い戻される金額は
    363,000円 ― 95,040円 =267,960円
    となります。

    高額療養費の「世帯合算」のシミュレーション

    不妊治療の体外受精や顕微授精で、保険が適用される上限回数を超えた場合、それ以降、高額療養費制度は利用できない?

    不妊治療の場合、保険が適用される上限回数を超えると、保険診療の対象から外れるため、それ以降の治療は高額療養費制度の対象になりません。

    不妊治療をしていることを会社には伝えていないが、高額療養費制度を利用すると会社にバレてしまう?

    限度額適用認定証またはマイナ保険証を利用した場合でも、複数の医療機関の自己負担額を合算するときや、同じ世帯の家族分を合算するときなどは、後日、高額療養費の申請が必要になることがあります。申請の要否は、加入している医療保険者にご確認ください。

    本人が直接申請した場合、通常、医療機関名や治療内容の詳細が勤務先に通知されることはありません。ただし、健康保険組合の給付方法や会社の手続きによっては、給付の事実や金額を会社が把握する場合があります。気になる方は、申請前に加入している医療保険者へ確認すると安心です。

    治療が月をまたぐと損をするというのはどういう意味?

    高額療養費制度は、1か月ごと(1日から末日まで)の医療費が一定額を超えた場合に適用される仕組みです。そのため、月をまたいで治療が行われると、各月ごとに自己負担額が計算されるため、トータルの負担が増える可能性があります。
    治療が月をまたぐと、各月で自己負担限度額が計算されるため、結果として自己負担額が増えることがあります。ただし、治療日程は医学的な必要性を優先して決めることが大切です。費用面も確認したい場合は、治療への影響がない範囲で調整できるか、あらかじめ医療機関へ相談しましょう。


    [参考記事]

    以下の記事では、「不妊治療に使える民間保険商品を徹底比較」など、実際に保険を検討する際にも参考にできる内容が紹介されています。
    不妊治療は民間保険でカバーできる?2026年最新の保険適用事情と賢い選び方を徹底解説/生殖医療クリニック錦糸町駅前院


    不妊治療でも利用できる高額療養費に関するまとめ

    今回は、不妊治療で利用できる高額療養費制度についてご紹介しました。体外受精や顕微授精などは、保険適用となっても医療費が高額になることがあります。
    高額療養費の適用範囲や申請方法などをご確認いただき、必要に応じて活用いただければと思います。

    ・高額療養費制度は、保険診療による1か月(1日から月末まで)の自己負担額が一定の上限を超えた場合に、その超過分が支給される制度です。
    ・2026年8月に制度が見直され、月単位の上限額の調整とともに、長期治療者の負担を抑える「年間上限額」が新たに創設されました。また、過去12か月以内に高額療養費の支給を3回以上受けた場合、4回目以降は「多数回該当」となり、月額上限が引き下げられます。
    ・公的医療保険(協会けんぽ、健康保険組合、共済組合、国民健康保険など)に加入しているすべての方が対象となり、年齢と所得に応じた自己負担限度額が設定されています。
    ・高額療養費制度の支給申請の期限は、原則として診療を受けた月の翌月の初日から2年です。2年の消滅時効にかかっていない高額療養費は、過去にさかのぼって支給申請できます。
    ・限度額適用認定証を医療機関等に提示するか、オンライン資格確認に対応した医療機関等でマイナ保険証を利用することにより、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えられます。
    ・自由診療による不妊治療、先進医療の技術料、差額ベッド代、入院時の食事の標準負担額は、高額療養費制度の対象外です。
    ・70歳未満の場合、受診者ごと、医療機関ごと、医科・歯科別、入院・外来別の自己負担額が同一月に21,000円未満のものは、合算の対象外です。
    ・高額療養費制度を利用して医療費の一部が支給された場合でも、残りの自己負担額や自由診療で発生した医療費(美容や健康増進などが目的のものを除きます)は、医療費控除の対象となります。

    この記事の監修者

    MOT社会保険労務士法人 
    特定社会保険労務士

    副代表
    小谷 富士子 

    新卒入社した会社で人事部に配属され人事労務業務を経験。その経験を生かし、1996年、社会保険労務士資格を取得。
    二子を出産後、(正確には第二子妊娠中)2000年に開業、小谷社労士事務所を設立して現在に至る。今年で25周年。
    顧問先企業の社会保険・労基法等に関連する手続代行のほか、就業規則の作成、給与計算、日常的な労務管理の相談やサポート、コンサルティングなどを行っている。

    著書(共著)
    「人事・労務ビジネスフォーム全書」(日本法令)、「労働・社会保険の書式・手続完全マニュアル」(日本法令)、「嘱託産業医のための治療と仕事の両立支援の進め方」(産業医学振興財団)

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