日本人女性の子宮内フローラを調査した研究成果の発表
本邦初の子宮内細菌叢解析(子宮内フローラ、子宮内マイクロバイオーム)の研究成果がReproductive Medicine and Biologyに発表されました!
日本人女性の子宮内フローラはどのようなものなのか、理解を深める第一歩ですね。
この研究でわかったことは、日本人女性の子宮内にも菌がいること、欧米人と同じようにLactobacillusが多い傾向にあることです。
子宮と腟のLactobacillusの割合は、IVF患者では63.90 %と65.21%、一般不妊(非IVF)にて96.20 %と99.40 %、健常者ボランティアにて99.50 %と99.80 %でした。IVF患者では、子宮および腟にする存在するLactobacillusの割合が低く、非IVF患者や健常者ボランティアではLactobacillusの割合が高い傾向にあることが明らかとなりました。
既知の文献と同様に、Lactobacillusが支配的かどうかで比較したところ、IVF患者と一般不妊、健常者ボランティアの間で有意な差が認められています(p = 0.001)。
また、本研究期間中に不妊治療を行っていた18患者において妊娠が成功し、妊娠した方の子宮内Lactobacillusの割合は96.45%、腟内細菌叢は97.80%でした。
驚いたことに、Bifidobacteriumが支配的なフローラの方も妊娠されていました。BifidobacteriumもLactobacillusと同じ乳酸菌ですので、Lactobacillusと同じように他の菌が増殖しにくい環境をつくる役割をしているのかもしれません。
どういった子宮内フローラの方が妊娠しやすいのか、どうやって子宮内フローラを改善していくのか、今後の研究が楽しみですね。
【出典】
Analysis of endometrial microbiota by 16S ribosomal RNA gene sequencing among infertile patients: a single‐center pilot study
Kyono K et al., Reproductive Medicine and Biology
人気記事
-
体外受精で考えられる9つのリスク~母体や子ども障害など将来への影響は?
-
胚移植後の症状まとめ~それって妊娠のサイン?注意が必要な兆候?
-
一番妊娠しやすい日はいつ?オギノ式での排卵日の計算方法や体の変化で予測する方法
-
胚移植後のNG行動~立ち仕事・ウォーキング・スクワット・旅行はダメ?
-
その腸溶性“だとおもっている”ラクトフェリンサプリ、本当に腸まで届いている!?〜サプリの見分け方をご紹介
-
ラクトフェリンによる子宮内フローラの改善効果~論文からみる妊活中の摂取目安量とは
-
子宮にとって良い菌・悪い菌とは?代表的な18の菌を解説!
-
“採卵後”や“胚移植後”の性行為はいつからOK?気を付けることは?
-
妊活中いつならお酒を飲んでも良い?お酒以外で控えるべき飲み物や医師お勧めの飲み物も紹介
-
採卵に関する疑問や不安を一気に払拭!採卵前の過ごし方や静脈麻酔、OHSSや下痢などの体調不調、流産後の卵の質など