子宮内フローラ検査で子宮の菌環境を知る意味
こんにちは。
子宮内の菌環境を調べる「子宮内フローラ検査」など、ゲノムテクノロジーを応用した検査の開発・提供をしているVarinos(バリノス)です。
今回は、「子宮内フローラ検査は受けなくても、サプリ(ラクトフェリン)を飲んでいればいいんじゃないの?」、「ラクトバチルスがもしいなくてもラクトフェリンを飲んでいるから改善できるでしょ?」という、よくお耳にするご意見に関して、お答えしたいと思います。
目次
ラクトフェリンだけでは効果に繋がっていないケースがある?
子宮内の環境を整えるのに効果が期待されているラクトフェリンですが、必ずしも「とりあえず摂取していれば大丈夫」、というわけではありません。
ラクトフェリンだけでは改善が困難なケースもあります。
では、子宮内フローラ検査では何がわかって、どういうケースの場合、ラクトフェリンだけでは改善が難しいのかを見ていきましょう。
子宮内フローラ検査を受けるとわかること
まず、子宮内フローラ検査でわかることは、大きく2つあります。
・子宮内のラクトバチルスの比率
・ラクトバチルス以外の細菌が検出された場合、その名称や存在比
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【専門家に聞く】子宮内フローラ検査で「わかること」と「向き合い方」
これだけを見ると、「やっぱりとりあえずラクトフェリン飲んでいればいいのでは?」、「ラクトバチルス以外の細菌がわかっても何か意味あるの?」と思われるかもしれません。
しかし、このラクトバチルスやそれ以外の細菌の存在比がとても大事で、医師もこれらの細菌の存在比をみて治療方法を判断します。
では、実際どういった場合、ラクトフェリンだけでは改善が難しいのでしょうか。
【ケース①】そもそもラクトバチルスが存在していない
個々人、また生活習慣などで子宮内の菌環境は異なります。
中にはラクトバチルスがいない、「0.0%」と判定される方もいらっしゃいます。
ラクトフェリンは、ラクトバチルスの「エサ」のようなイメージです。
そもそもラクトバチルスが存在しない方の場合、エサであるラクトフェリンを摂取しても、食べてくれるものがいないので、ラクトバチルスを増やすことはできません。
その場合、医師の判断のもと、生きたラクトバチルスを腟剤やサプリメントなどで摂取しながら、そのラクトバチルスを増殖、定着させるために、ラクトフェリンを補助的に摂取するなどの対応がとられる場合があります。
【ケース②】妊娠、出産に悪影響を及ぼす細菌が存在している
例えば細菌性腟症の原因となる細菌が検出されたり、過去には妊娠、胎児への影響が深刻な細菌が検出されたケースもありました。
その場合、ラクトフェリンでは根本的な悪い細菌を倒すことはできませんので、医師が検査結果をもとに最適な治療(抗生物質の投与など)で介入する必要があります。
悪い細菌は医師の判断のもとしっかりと減らし、良い細菌ラクトバチルスは、ラクトフェリンの摂取、生活改善などで、増殖、定着させ続けてあげることが大切です。
また子宮内フローラ検査の結果が良かった場合は、現在の食生活、何か治療されている場合は、その効果が得られている確認が取れる可能性がありますので、ご自身にあったものを継続する判断材料にお役立ていただけます。
自分の子宮の状態を知ってほしい
もし悪い細菌がいる場合、できるだけ早く治療するに越したことはありませんよね。また、より効率的に子宮内の環境を整える方法が見つかる可能性もあります。
これから妊娠を望む方、色々な検査や治療を行っているけど妊娠・着床に至っていない方、子宮内フローラ検査はどなたでも受けていただける検査です。
子宮内フローラ検査の結果から、医師が最適な治療判断をし、子宮内環境の改善および最善の状態を保つことで、一人でも多くの方が妊娠、出産に至られることを心より願っております。
この記事の監修者
Varinos株式会社
創業者 代表取締役CEO
桜庭 喜行
埼玉大学大学院で遺伝学を専攻。博士取得後、理化学研究所ゲノム科学総合研究センターでのゲノム関連国家プロジェクトや、米国セントジュード小児病院にて、がん関連遺伝子の基礎研究に携わる。その後、日本に初めて母体血から胎児の染色体異常を調べるNIPTと呼ばれる「新型出生前診断」を導入したほか、医療機関や研究機関に対し、NIPTやPGT-Aと呼ばれる着床前診断などの技術営業を経て、2017年2月にゲノム技術による臨床検査サービスの開発と提供を行うVarinos株式会社を設立。同年、子宮内の細菌を調べる「子宮内フローラ検査」を世界で初めて実用化するなど、生殖医療分野の検査に精通。