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    不妊治療ナースharuのギモン『子宮内フローラ検査って?』に Varinos研究員が回答!

    ~不妊治療ナースharuさんとVarinosの研究・開発員の嶋田による対談をお届け~
    前回の対談「子宮にも菌がいるって本当?」はこちらからご覧いただけます。
    URL:不妊治療ナースharuのギモン『子宮内にも菌がいるって本当?』に Varinos研究員が回答!

     

    子宮に菌がいるとわかってから検査が誕生するまで

    haru:子宮内に菌がいるとわかっても、それがすぐに医療現場で検査として導入できるというわけではなかったのですよね?
    2016年に発表された、ラクトバチルスにより妊娠率や生児獲得数に違いが出るという論文は、Varinos起業のきっかけにもなったそうですが、すぐに検査化できたのですか?

    嶋田:
    子宮内は細菌がすごく微量しかいないので、難しかったですね。試薬と言われる細菌のDNAを解析する際に必要な薬剤に含まれる細菌まで検出してしまったり。腸内細菌を調べるのと同じ方法でトライしても全くうまくいきませんでした。
    Varinosの設立が2017年2月で、ラボができたのが夏、子宮内フローラ検査を実用化できたのが同年12月なので、それくらいの期間はかかりましたね。
    このとき、世界で子宮内フローラを調べる検査を実用化できている会社はVarinos以外なかったので、それくらい超微量の菌を解析するのには、高度な技術力が必要だったということですね。
    現時点でも実用化できているのは、世界で数社しかありません。

    haru:
    子宮内の菌と腸内細菌って全然違うんですね。同じ体の中なのに不思議ですね…!
    そして子宮内の細菌を調べるのがこんなに難しいとは思っていませんでした。

    ちなみに、子宮内フローラ検査の結果というのはどのような形で出てくるのでしょうか。

    嶋田:
    ラクトバチルスが何%いたのか、またそれ以外の細菌が検出された場合、それぞれの細菌が何%ずつ検出できたかを報告書という形で医療機関にお戻ししています。
    医療機関では、これを確認し、治療が必要と判断した場合、菌環境に応じた治療をされています。

     

    どんな人が子宮内フローラ検査を受けると良い?

    haru:
    子宮内フローラ検査は「子宮内細菌叢検査2」という名称で、厚生労働省から先進医療にも認定されましたよね

    医療従事者からすると、保険診療や先進医療になると「医学的に信頼できる検査」として認められたと受け取るのですが、やはり不妊治療をされている方は受けたほうがよいのでしょうか。検査会社の方に聞いたら、もちろん「はい」だと思うのですが。(笑)

    嶋田:
    そうですね。(笑)
    例えば、子宮内に炎症があると免疫が活性化され、受精卵や精子をも敵とみなして攻撃されてしまい、着床という観点で炎症を起こす菌は良くないと考えられています。子宮内フローラ検査では、そういった細菌含め網羅的に調べることができるので、治療に役立てていただくことができると思います。

    haru:
    どういう方が子宮内フローラ検査を受けられるとよいですか?

    嶋田:
    子宮内フローラは妊娠率にも影響があるとわかってきたと話しましたが、早産や流産にも影響すると考えられているので、私たちとしては、妊娠を望むすべての方にお受けいただければと思っています。
    現状でいうと、医療機関では、数回胚移植を行っても着床しない方や流産を繰り返す方が医師から勧められ受けるケースが多いように思います。

    反復着床不全や反復流産をしてしまう原因は胚(受精卵)側にもあり、これは着床前診断(PGT-A)によりわかるのですが、日本ではまだ誰もが受けられる検査ではなく、費用も高いです。子宮内フローラ検査を受け、問題がなければ、胚の要因を考え次のステップに進む方法もあると思います。

    また、妊娠という点では年齢という要素も大きいので、早い段階でご自身の子宮内フローラを把握されておくのも良いと思います。実際、医療機関でも最初の検査として、子宮内フローラ検査をされるところも増えてきています。

    haru:
    確かに、子宮内の菌環境は妊娠や着床だけではなく、赤ちゃんが無事生まれてきてくれるかにも関わっているということなので、受けると安心にもつながるかもしれませんね。

    haru:
    子宮内フローラ検査をされているクリニックに通われている方は受けやすいと思いますが、「子宮内フローラ検査を受けたい!」と思っても通院している病院でやっていない…という方も多いと思います。その場合は他の病院で受けるしかないですか?

    嶋田:
    そういう場合は、ご自宅でできる「腟内検体採取式 子宮内フローラCHECK KIT」を活用されてもいいかもしれません。Varinosが医療機関に提供している子宮内フローラ検査と同じ技術で腟内の検体から子宮内の菌環境を予測できます。

    「腟内検体採取式 子宮内フローラCHECK KIT」

    haru:
    そんなキットがあるんですね!自分の子宮内の菌環境、気になります(笑)

    また最近、腟内フローラという言葉も聞きますが、子宮内フローラと相関関係はあるのでしょうか。

    嶋田:
    細菌の構成は似ています。ただ、圧倒的に細菌の量が違いますね。

    子宮内フローラ検査を受けるなら、どのタイミング?

    haru:
    子宮内フローラ検査をするベストなタイミングはありますか?

    嶋田:
    タイミングは治療に合わせて医師が判断するというのが前提ではありますが、子宮内の菌環境は、生理周期でも変わり、特にラクトバチルスは、エストロゲンというホルモンが分泌されると増える傾向にあります。
    そういったことも踏まえると、最もラクトバチルスが増える黄体期に受けていただくと良いかもしれません。黄体期は受精卵が着床する大切な期間でもありますので、その期間の子宮の菌環境を調べるというのは良いと思います。

    haru:
    確かに、胚を戻すタイミングに合わせて調べるのがいいかもしれませんね。

    子宮内フローラを調べる検査は他にもあるけど、違いは?

    haru:
    子宮内の菌環境を調べる検査は、御社の子宮内フローラ検査以外にもありますが、一番の違いは超微量な菌まで検出できるという精度でしょうか。

    嶋田:
    はい、精度に関しては自信を持っています。Varinosの場合、子宮内の細菌を網羅的に解析していて、検出できない細菌はほぼないです。なので、医師たちからも非常に信頼いただいています。
    技術力という意味では、子宮内フローラの結果が出てこない(=わからない)という割合が、他社と比較し、ケタが違うくらい圧倒的に低いです。

    あとは、検体の採取方法も違うかもしれませんね。Varinosの場合、医療機関で子宮内腔液という子宮内の液を細いチューブで吸引してもらい、それを解析しています。
    痛みは人それぞれですが、この方法で採取いただくと血などが混ざることもあまりなく、医師によっては患者さんに痛みはほぼない検査ですよと伝えてくださっているようです

    haru:
    そうなんですね!
    他との違いは、聞いていい質問なのかな…とドキドキしていましたが、答えていただきありがとうございました(笑)

    ◇フォロワーさんからの質問◇

    子宮内フローラの治療をしたら、再検査したほうが良い?

    haru:
    「子宮内フローラ検査の結果が悪く、治療した場合は、再度検査を受けたほうがよいのでしょうか」という質問もたまにいただくのですが、いかがでしょうか。

    嶋田:
    医師に聞くと、1~2か月で改善する方が多いといいますが、難治性の細菌がいる場合、治ったかを確認するため、もう一度検査をされるケースも多いです。

    haru:
    結果の内容や医師によるといったところですかね。
    検査については、とてもよくわかりました。あとは、実際に検査を受けて、結果が良くなかった場合、どうしたらよいか…ですよね。

    ▼つづきはこちら

    不妊治療ナースharuさんとの対談Vol.3「子宮内フローラ検査の結果が悪かったら?」

    ▼前回の対談はこちら

    不妊治療ナースharuさんとの対談Vol.1「子宮内にも菌がいるって本当?」