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    ラクトフェリンは、ラクトバチルスの【エサ】?

    こんにちは。
    子宮内の菌環境を調べる「子宮内フローラ検査」など、ゲノムテクノロジーを応用した検査の開発・提供をしているVarinos(バリノス)です。

    今回は、妊娠、出産において影響があることがわかってきた、子宮内フローラ(子宮内の菌環境)改善に重要な役割を果たしている善玉菌・ラクトバチルスの定着、増殖に力を貸してくれるラクトフェリンについてご紹介します。

    子宮内フローラとラクトバチルスの関係

    子宮内フローラの乱れにより、子宮内の悪玉菌が増え、善玉菌・ラクトバチルスが減ると着床、妊娠しない、また妊娠しても流産や早産の原因となる可能性があると考えられています。悪玉菌を減らすことで子宮内の炎症の改善、免疫細胞の活性抑制、免疫細胞による受精卵への攻撃を弱めることが期待されています。
    また「細菌性腟症」や「子宮内膜炎」の原因にもなると言われており、特に妊活期、妊娠中は悪玉菌を減らし、善玉菌・ラクトバチルスを増やすことは、とても重要となります。
    ↓子宮内フローラとラクトバチルスの詳細はこちら
    【専門家に聞く】子宮内フローラと妊娠率・生児獲得率の関

    ラクトフェリンとは?

    ラクトフェリンは母乳に多く含まれる鉄結合性の糖タンパク質で、初乳に多く含まれており、生まれたばかりの赤ちゃんを、病原菌やウイルスから守る働きをしている大事な成分です。成人では、外気に触れる機会の多い、涙、唾液、子宮頚管粘液にラクトフェリンは含まれており、病原菌が外から侵入しないようにバリアの役目(*自浄作用)において、要でもある善玉菌・ラクトバチルスを定着、増殖するための【エサのような役割】を果たしています。
    妊娠、出産においても悪影響な、細菌性腟症の原因と言われるGardnerella(悪玉菌)等は増殖の際に鉄を必要とします。ラクトフェリンは、その鉄と結合することで、悪玉菌のエサとなる鉄分を奪い、悪玉菌の増殖を阻害、それにより善玉菌・ラクトバチルスを増やすことに力を貸してくれます。
    直接的な【エサ】というわけではなく、間接的にラクトバチルスの定着や増殖に一役買ってくれているのです。

    ↓*自浄作用についての詳細はこちら
    年齢に負けない良い菌環境を作るには?

    ラクトフェリンを普段の食事から必要量とるのは難しい?

    善玉菌・ラクトバチルスの定着、増殖を手伝ってくれるラクトフェリンは普段の生活から摂取することは可能なのでしょうか?

    ラクトフェリンは糖タンパク質のため熱に弱く、一般的に市販されている牛乳やチーズは熱による殺菌処理がなされているため、ラクトフェリンはほぼ含まれておりません。
    低温で殺菌された牛乳やチーズからはごく少量ですが、例えば低温殺菌乳には1Lあたり約200mgのラクトフェリンが含まれていますが、1日に必要とされている成分量は300mgと言われています。つまり、毎日1.5Lずつ飲まなくてはいけないという計算になります。
    これはなかなか継続するのは難しいですね。このように普段の食事からラクトフェリンを摂取することが難しいことから、サプリメントが開発され、手軽に摂取することが可能になりました 。

    ↓いろいろある市販のラクトフェリン。何が違うのか?は、こちらから
    自分にあったラクトフェリンの選び方は?

    私たちの子宮を守ってくれているラクトバチルスの応援に

    妊娠、出産において、非常に大切な場所である子宮。その子宮を守ってくれているラクトバチルスの応援をラクトフェリンによってできるかもしれません。ラクトフェリンは、カラダの内側からお母さんと赤ちゃんを守るために大切なものなのです。

    ラクトフェリンの飲用に際して、まず自分の子宮の菌環境を知ることが大切です。
    無菌と思われていた子宮内も技術の進歩により、どんな細菌がどんな割合で存在しているのか、わかるようになってきました。子宮内の超微量な細菌を検出、解析することができるのが「子宮内フローラ検査」です。赤ちゃんを迎えるにあたりとても大切な場所である子宮の菌環境を子宮内フローラ検査で把握することで、治療が必要な細菌が存在していればその治療を行いながら、ラクトバチルスの定着、増殖のために補助的にラクトフェリンの摂取をするなどの対応がとられる場合があります。
    子宮内フローラ検査は、不妊治療専門クリニックなどの医師にとって、患者様ごとに、より最適な治療計画を立てるための判断材料の1つとなっているようです。

    ↓詳細はこちら
    【専門家に聞く】子宮内フローラと妊娠率・生児獲得率の関係
    検査で自分の子宮の状態を知る意味

    この記事の監修者

    Varinos株式会社
    創業者 代表取締役CEO
    桜庭 喜行

    埼玉大学大学院で遺伝学を専攻。博士取得後、理化学研究所ゲノム科学総合研究センターでのゲノム関連国家プロジェクトや、米国セントジュード小児病院にて、がん関連遺伝子の基礎研究に携わる。その後、日本に初めて母体血から胎児の染色体異常を調べるNIPTと呼ばれる「新型出生前診断」を導入したほか、医療機関や研究機関に対し、NIPTやPGT-Aと呼ばれる着床前診断などの技術営業を経て、2017年2月にゲノム技術による臨床検査サービスの開発と提供を行うVarinos株式会社を設立。同年、子宮内の細菌を調べる「子宮内フローラ検査」を世界で初めて実用化するなど、生殖医療分野の検査に精通。