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    卵子の質や数は改善できない?採卵結果で悩む人が知るべき卵子・卵胞のすべて

    採卵結果で悩む人が知るべき卵子・卵胞のすべて


    妊活・不妊治療では、「卵子の質」と「卵子の数(卵巣予備能)」が妊娠・出産に大きく影響します。
    しかし、多くの方が妊活や不妊治療を始めるまで、卵胞の発育過程や卵子の質や数について考えることはほとんどないのではないでしょうか。

    そのため、不妊治療をはじめると
    ・卵胞が思ったように大きくならないのは異常?
    ・卵子の質は改善できるの?
    ・AMH(卵巣予備能)が低くても妊娠できる?
    ・卵子の数は年齢以外の要因でも減るの?
    ・喫煙や生活習慣は卵子にどれくらい影響する?
    といった疑問や不安を抱える方も少なくないようです。

    そこで本記事では、はやしARTクリニック半蔵門 院長・林 裕子先生に、不妊治療を進める上で必ず押さえておきたい“卵子と卵胞の基礎知識”について詳しくうかがいました。

    *患者様向けにわかりやすく説明するため、厳密な薬理作用や生理学的な機序とは異なる内容が含まれます。

    はやしARTクリニック半蔵門 林先生

    執筆者:Varinos編集部

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    卵胞とは何か?卵子との違い

    卵胞とは何かの解説

    卵胞とは「卵子を包む袋状の組織」であり、卵子そのものではありません。

    妊娠は、卵子と精子が出会い受精・着床することで成立しますが、卵胞はその卵子を育てる場所と言え、一つの卵胞に一つの卵子が存在しています。

    卵胞の成長過程と排卵までの流れ

    脳の視床下部からGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)が分泌されると、次に下垂体からFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)が分泌されます。
    FSHにより卵胞は「原始卵胞 → 一次卵胞 → 二次卵胞(前胞状卵胞 → 胞状卵胞) → 排卵直前の成熟卵胞(グラーフ卵胞)」という段階を経て成長します。

    卵胞の成長過程と排卵までの流れを図解

    そして、急激にLHが上昇する「LHサージ」という現象により、卵胞から卵子が排卵されます。

    卵巣内での卵胞の発育過程を図解
    ホルモン値や基礎体温と卵胞の発育過程をグラフでグラフで解説

    このように

    卵胞の成長プロセスはホルモンの影響を受けるため、どこかでホルモンバランスが崩れると卵子の成熟が遅れる、あるいは排卵が起こらない等の要因になります。


    Point

    体外受精においては、複数個の卵子を採卵するために薬剤により多くの卵胞を育て、自然なLHサージを待たず、hCGトリガー(排卵を人工的に誘発する注射)によって排卵のタイミングを管理することが多いと言えます。

    なお、毎月1000個程度の卵胞が両方の卵巣で発育準備をし始め、3か月ほどかけて成熟していきます。そして、

    その月経周期に最も大きく成長した「主席卵胞」から一つの卵子が排卵されます。

    排卵に至らなかった卵胞は閉鎖卵胞となり、自然に吸収・消滅します。



    排卵は卵胞が何ミリになったら起こる?

    自然周期では、排卵は一般的に卵胞径が20mm前後(18〜24mm)で起こることが多いとされています。
    ただし、卵胞が成熟したにもかかわらず、排卵せずに黄体化してしまう黄体化未破裂卵胞(LUF)の場合など、20mmを超えても排卵しないこともあります。
    なお、ご自身で実際排卵したかを確認することはできません。月経時のように出血が見られたとしても、実際は排卵されていない無排卵月経の場合もあります。

    [関連記事]
    排卵日を知る方法(基礎体温・排卵検査薬など)と無排卵月経とは何か・症状はあるのかを詳しく解説

    採卵は月経開始から何日目に行われるのが一般的?

    採卵は卵胞の成長スピードやホルモン値、卵巣刺激法を総合して決定するため“月経○日目”と一概に言うことはできませんが、

    月経開始から約10〜14日目が一つの目安

    になります。

    なお、体外受精(顕微授精)では、自然に排卵してしまう前に卵子を回収する必要があるため、月経開始から3日目頃、そして8~12日目に経腟超音波で卵胞数や発育状態、子宮内膜の厚みを確認しつつ、薬で排卵をコントロールし採卵日を決定します。

    [関連記事]
    体外受精における「卵巣刺激法」別スケジュールを図表付きで詳しく解説

    卵胞に関するQ&A

    卵胞に関して、不妊治療をされている患者さんがよく疑問に思われる点について、林先生に話をうかがいました。

    Q.1 卵胞が大きすぎるor成長が遅いのはなぜ?対処法はある?

    卵巣刺激では薬剤を用い複数の卵胞を育て、ベストな大きさまで発育したら採卵します。そのため、卵胞が大きすぎる理由というのは、大きくなるまで採卵しなかったからということになります。20mmを超えると排卵が近くなりますが30mmほどの大きさになっても成熟卵が回収されることはあります。

    また、卵胞の成長が遅いと医師に言われ、理由が気になっている方もいらっしゃるかもしれません。卵巣刺激を行いたくさんの卵胞を育てている場合、発育開始時での成熟度が違うため、均一にすべてが成長するわけではありません。そのため、卵胞の大きさを確認すると採卵に適した大きさのものと、少し小さいものが混在することはあります。

    Q.2 卵胞の大きさは卵子の質に影響する?

    ―卵胞が大きすぎる場合
    “良い時期を超えてしまった過熟卵”の可能性があり、この場合、良い卵子を得られないことがあります。

    ―卵胞が小さい場合
    卵胞が小さいと卵子の成熟度・受精能力に影響する可能性はありますが、必ずしも質が悪いとは限りません。


    卵子の「質」~改善はできなくても低下をできるだけ食い止めるには?

    『基本的に、卵子の質は年齢とともに低下していきます。なお、

    チョコレート嚢胞があると酸化ストレスや炎症の影響が卵子の質に悪影響を与える可能性がある

    という報告があります。(林先生)』

    一度低下した卵子の質を改善することはできません。

    しかし、質の低下への対応策がないわけではありません。どのような方法があるのか、以下でご紹介します。


    卵子の老化が進む原因と対策

    卵子の老化が進む原因と対策

    1.加齢

    卵子の質は女性の年齢の影響を大きく受けます。

    常に新しく作られる精子と違い、卵子の素となる原始卵胞は女性が胎児の頃にすべて作られます。

    そして、減数分裂の途中で停止した状態で体内に留まり、思春期になると、卵胞が順番に細胞分裂を再開し、成熟した1つの卵子が排卵されるようになります。

    ただし、年齢を重ねるとともに長期間停止していた卵子内の染色体を正常に分離させるためのメカニズムにエラーが起こりやすくなり、染色体の数が正常ではない卵子の割合が増加するようになります。その結果、受精できない・受精/着床できても妊娠継続できない(流産リスク上昇)、お子さんが染色体異常による影響をもって生まれる確率が高まります。

    加齢に対する治療法はありません。そのため、ある程度年齢を重ねてから妊活・不妊治療を始める場合、妊娠しにくさがあることを考慮にいれ、タイミング法や人工授精を長期にわたり繰り返すのではなく、早めに体外受精や顕微授精を選択することも大切です。

    また、結婚や出産の予定は決まっていないがいずれ子どもを持ちたいと考えている女性は、できるだけ若い年齢のうちに卵子凍結をするという方法もあります。

    [関連記事]
    『卵子凍結のすべて|費用・年齢制限・デメリット・出産までの流れを徹底解説』

    2.チョコレート嚢胞

    加齢の影響以外にチョコレート嚢胞などの疾患がある場合、卵子の質が低下することがあります。
    低用量ピルやホルモン療法により、卵巣を休ませ子宮内膜症の悪化を防ぐことができます。

    チョコレート嚢胞の図解

    3.生活習慣による活性酸素の増加

    不規則な生活や栄養バランスの偏り、ストレス、喫煙などは、活性酸素を増加させます。その結果、卵子もダメージを受け、質の低下を招くことがあります。

    卵子の質は一度低下すると改善することはできません。そのため、できるだけ卵子の質を低下させないよう、健康的な生活を意識しましょう。


    卵子の「数」~年齢との関係やその他減少につながる要因を解説

    卵子の数は生まれたときに決まっており、加齢とともに自然に減少します。

    年齢による卵子の数の変化

    女性は出生時に約100万個の原始卵胞を卵巣内に保持しますが、思春期の初経時には約30万個に減少します。月経周期毎に、排卵に至らなかった複数の卵胞が閉鎖という現象により消失し、実際に排卵に至るのは1個の卵胞です。

    このように、卵子の数は有限で、年齢と共に減少していきます。


    卵子の残存数を評価する指標「抗ミュラー管ホルモン(AMH)」とは?

    卵子の残りの数を評価する指標としては、抗ミュラー管ホルモン(AMH)値が広く使われています。

    AMHは卵巣内の原始卵胞の量に比例して分泌され、値が高いほど卵子の残存数が多いと考えられます。

    逆に低値は、卵子の数が少なく、採卵個数や妊娠率に影響する可能性があることを示します。

    早い段階でご自身の卵子の残存数を把握することがライフプランを見直すきっかけとなり、将来の選択肢を広げられる可能性があります。

    AMH値は、少量の血液を採取することで測定することができます。医療機関で検査する方法以外に、AHM値を測定するセルフキットなどもあります。

    今すぐ妊活や不妊治療を考えている方ではなくても、将来妊娠を考えている方は早めに検査を受けるのも一つの方法です。

    年齢別_AMHの目安値

    年齢別の一般的AMH値の目安は以下の通りです。

    年齢(歳)中央値(ng/mL)
    〜274.69
    284.27
    294.14
    304.02
    313.85
    323.54
    333.32
    343.14
    352.62
    362.50
    372.27
    381.90
    391.80
    401.47
    411.30
    421.00
    430.72
    440.66
    450.41
    46〜0.30
    *出典)JISART多施設共同研究での国内研究データ


    なお、AMHは卵子の残総数の目安を示す指標であり、「AMHが高い=妊娠率が高い」「低AMHだから妊娠できない」というわけではない点に注意が必要です。


    卵子の数が少ない原因(加齢・喫煙・疾患やその治療による影響など)

    卵子の数が少ない原因

    卵子の数に大きな影響を与えるのは「加齢」です。
    それ以外に喫煙習慣や早発卵巣不全などの疾患、卵巣に影響を与える医療行為などが挙げられます。

    喫煙

    女性喫煙者の血中FSH(卵胞刺激ホルモン)値は、非喫煙者に比べて高くなる傾向にあるとされています。血中FSH値が高い場合、卵巣反応の低下、また卵子の数が減少している可能性があります。

    喫煙は健康にも良くないため、喫煙習慣がある方は禁煙するのが望ましいと言えます。

    参考)
    Effect of smoking on ovarian reserve and ovarian stimulation in in-vitro fertilization and embryo transfer
    Smoking and infertility

    Smoking and infertility


    早発卵巣不全(POI)

    早発卵巣不全(POI)は20〜30代と若いうちに月経が起こらなくなる疾患です。卵子の数は加齢とともに減少しますが、早発卵巣不全の場合、減少が早く進むため、若くても残りの卵子の数が非常に少なくなっている可能性があります。

    [関連記事]
    女性不妊になりやすい人の特徴チェック|症状・原因・受診の目安を医師が解説


    疾患の治療

    卵巣に影響を及ぼす手術や治療を行った場合、卵子の数に影響を与える可能性があります。

    ―がん治療
    がん治療を行う際に化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療を行うと、卵巣にダメージを与え、卵子の数の減少や月経が再開しても妊娠できない、あるいは早期閉経など、妊娠・出産に対し大きな影響を及ぼすことがわかっています。

    ―子宮内膜症(チョコレート嚢胞)/卵巣の手術
    子宮内膜症とは、子宮内膜あるいはその類似組織が子宮内膜以外の場所に存在する疾患です。卵巣にできると「チョコレート嚢胞(のうほう)」と言います。

    チョコレート嚢胞は多くの場合、良性の腫瘍ですが、年齢が高い場合やチョコレート嚢胞が大きい場合はがん化するリスクがあるため手術療法が選択されることもあります。嚢胞のみを摘出する手術であっても病巣の周辺にある正常な卵巣組織にも影響を与えることがあり、卵子の数が減少する可能性があります。
    なお、チョコレート嚢胞により慢性的な炎症があると卵子の数の減少にもつながる可能性があります。

    [関連記事]
    卵子凍結~病気の治療を行う前に将来の妊娠への希望を残す「医学的適応」とは?


    卵子が少ない・ないと言われたときの考え方と対応

    AMH検査により卵子の数が少ないと言われた場合、ご自身のライフプランや妊活について考え直す方もいらっしゃるかもしれません。

    『AMHが低いという結果が出た方に、即時に卵子凍結や体外受精(顕微授精)が必要かは、ご本人が何人お子さんを欲しいと思っているかにもよります。例えば25歳でお子さんを一人だけ望んでいる場合、AMHが低くても妊娠できない理由が他になければ、タイミング法や人工授精を選択されても良いと思います。一方、4人のお子さんが欲しいとなると最短でも8年計画ですので、8年後には卵子が少なくなっている可能性を考え、卵子凍結や体外受精(顕微授精)を勧める場合もあります。
    なお、AMHが極端に低い方は排卵する卵子がなくなってきている可能性もあるので、早期の治療が必要となります。(林先生)』

    ご自身の希望を医師に伝えつつ、不妊治療の方法や進め方について相談されるのがよいでしょう。


    採卵できる「個数」の疑問~個人差が大きい理由は?

    採卵できる卵子の個数は、年齢やAMH(卵巣予備能)、FSH(卵巣刺激ホルモン)、卵巣刺激方法により変わってきます。

    年齢:加齢に伴い原始卵胞の数が減少するため、同じ刺激法でも採卵数が減少します。

    AMH(卵巣予備能)の差:AMH値が高いほど卵胞が多く、採卵で回収できる卵子の数が多くなる傾向にあります。反対にAMH値が低い場合は採卵できる数が少なくなります。

    ホルモン反応:FSH値が高い場合、卵巣機能の低下が考えられます。この場合、採卵できる個数が少なくなることがあります。

    卵巣刺激法や投与量:卵巣刺激方法や使用する薬剤の量によっても採卵数は変動します。


    こんなケースは?40歳前後でアンタゴニスト法を行った場合の採卵数

    アンタゴニスト法は、体外受精(顕微授精)で複数の卵胞を育てるための卵巣刺激方法の一つです。

    アンタゴニスト法により何個採卵できるかは、AMHとその周期開始時に卵巣にある胞状卵胞数によります。40歳でもAMHが高ければたくさん取れる可能性があります。なお、AMHが変わらなくても周期ごとに育つ卵胞の数は異なるため、毎回同じ個数が採卵できるわけではありません。

    『アンタゴニスト法スタート時に胞状卵胞が見えている数だけ育てば順調と言えます。例えば、5個見えていて5個育てば順当と判断しますが、10個見えていたのに3個しか育たなかった場合、治療方針を見直す必要があります。
    (林先生)』

    [関連記事]
    各卵巣刺激方法のメリット・デメリット、治療スケジュールを解説


    採卵してわかる卵胞や卵子についての疑問に回答

    採卵後の卵胞の状態や採卵してわかる卵子のトラブルについて、話先生に話をうかがいました。

    採卵しても空砲ばかり…どうして?原因は?

    超音波検査で卵胞がある程度の大きさに育っていることが確認でき、ホルモン値もある程度あることが確認でき採卵を行ったにも関わらず、卵子が取れなかったときに空砲と言います。

    『空砲とは言っても、本当に卵子がなかったとは言い切れません。例えば、採卵前の(卵子を成熟させる)トリガーは基本的に患者さんご自身で行ってもらいますが、時間や使い方を間違えてしまうとLHサージが起きず、採卵できなくなります。
    これは、トリガーをしないと卵子が成熟せず、卵胞液は吸引できても卵子が取れないからです。
    また、年齢とともに育つ卵胞が減るため、例えば1個しか卵胞が育っていなかったのに、その1個から卵子を取れなかった場合、非常に空砲が気になると思います。反対に10個の卵胞が育ち、そのうち9個から卵子が取れた場合、たとえ1個が空砲であってもそこまで気にならないと思います。つまり、空砲ばかりという方は卵巣機能が低下し、発育する卵胞数が少ないからかもしれません。(林先生)』

    採卵時に空砲を防ぐには?

    『卵子が卵胞の壁からはがれづらくて採卵できない方の場合、フラッシュ採卵という方法により、採卵できる可能性があります。

    採卵の際は、卵胞液ごと吸引して、その中に卵子があるかを確認します。卵子が確認できなかった場合、再び卵胞に培養液を入れて膨らませ、卵胞の壁にくっついている卵をとる方法があります。これがフラッシュ採卵です。2~3回目のフラッシュで卵子が回収できることもあります。(林先生)』

    採卵後、卵胞が残るのはなぜ?

    『採卵後、超音波をみると膨らんできているようにみえるものもあります。これは取り残しではなく、採卵した後、卵胞の中に再び液が溜まってくるためです。そして、過剰に腫れてくる状態が、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)です。(林先生)』

    OHSS(卵巣過剰刺激症候群)とは

    卵巣刺激を行う際の排卵誘発剤(hCG注射)により、 卵巣が過剰に刺激されることで起こります。PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)がある方はOHSSのリスクが高いと言われています。

    症状には、吐き気や嘔吐、おなかの張りなどがあります。
    なお、OHSSは多くの場合、月経がくると解消されますが、重度になると液体が体内に溜まり、腹水や胸水が生じ、呼吸困難や血液の凝固異常を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。


    変性卵とは?主な原因は何?

    採卵で得られる卵子は受精能力のある「成熟卵」ばかりではなく、「未受精卵」や「変性卵」が混ざっていることもあります。

    成熟卵:受精準備が整った卵子で、極体という小さな細胞が見られます。成熟卵は減数分裂が途中で停止している状態で、精子が侵入することで、第2減数分裂が再開・完了します。

    成熟卵の図解

    未受精卵:卵核というものが卵子の中に確認できます。これから成熟卵子になろうとしている状態であるため、受精することはできません。

    未受精卵の図解

    変性卵:細胞が黒ずんでいる、あるいは収縮してしまっている状態で、受精する力がない卵子です。

    なお、変性卵が多くなる主な原因としては「年齢」と言われており、採卵した卵子が変性卵である割合は、年齢とともに上がっていくと言われています。

    変性卵の図解


    ストレスと卵子の関係|メンタルケアが卵胞の成長を助ける

    極度のストレスがかかると、視床下部がストレス状態と判断し、生殖に必要なGnRH分泌が抑制されます。その結果、下垂体からのLH・FSH分泌が低下し、卵胞の発育や卵子の成長に影響を及ぼすことがあります。
    これは、体が生殖機能よりも生命維持を優先するために起こる神経内分泌学的な適応反応です。
    日頃から、ご自身なりのストレス解消を生活に取り入れる、また適度な運動や質の高い睡眠を意識されるとよいでしょう。


    「卵子・卵胞のすべて」に関するまとめ

    今回は、卵子や卵胞に関しての疑問や不安を払拭していただくため、広く深くご紹介いたしました。
    ・卵胞とは「卵子を包む袋状の組織」であり、一つの卵胞に一つの卵子が存在している
    ・卵胞の成長プロセスはホルモンの影響を受けるため、どこかでホルモンバランスが崩れると卵子の成熟が遅れる、あるいは排卵が起こらない等の要因になる
    ・自然周期では、一般的に卵胞径が20mm前後(18〜24mm)で排卵が起こることが多い
    ・卵子の老化が進む原因としては「加齢」「チョコレート嚢胞」「生活習慣による活性酵素の増加」などが挙げられる
    ・卵子の数は生まれたときに決まっており、加齢とともに自然に減少していく
    ・加齢以外で卵子の数が少ない原因として考えられるのが、「喫煙」「早発卵巣不全」「疾患の治療(がん治療や子宮内膜症、卵巣の手術など)」
    ・極度のストレスがかかると、卵胞の発育や卵子の成長に影響を及ぼすことがあるため、ご自身なりのストレス解消を生活に取り入れる、また適度な運動や質の高い睡眠を意識することも大切


    この記事の監修医

    はやしARTクリニック半蔵門
    院長 林 裕子 医師

    1999年 早稲田大学第一文学部哲学科心理学専修 卒業
    2009年 名古屋市立大学医学部 卒業
    2015年 名古屋市立大学大学院医学研究科博士課程 卒業
    医学部卒業後は同大産科婦人科学教室に入局し、産婦人科診療と不育症研究に従事。
    2017年より東邦大学産科婦人科学講座にて生殖医療に携わる。
    2024年9月はやしARTクリニック半蔵門を開業。

    [所属学会・資格]
    医学博士
    日本産科婦人科学会専門医、指導医
    日本生殖医学会 生殖医療専門医
    日本不育症学会 不育症認定医
    日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会 臨床遺伝専門医
    日本超音波医学会 超音波専門医・指導医
    母体保護法指定医

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