妊活中から妊娠中の薬服用~赤ちゃんや不妊治療への影響、注意点とは?

妊活中や妊娠中は、赤ちゃんへの影響を心配し、薬の服用に対し、とても不安に思う方も多いと思います。
そこで、今回は妊活と妊娠中それぞれについて、薬服用による赤ちゃんへの影響について、レディースクリニックなみなみ院長の叶谷愛弓医師に話を伺いました。


妊活中の薬の服用による影響や注意点
妊活や不妊治療に服用した薬が卵子や受精卵への影響はないか、また妊娠に気づかず薬を服用してしまった場合、赤ちゃんに影響を及ぼしてしまうのではないかと心配される方も多いのではないでしょうか。
胎児への影響について

市販薬の効果は、薬によっても異なりますが、例えば1日3回服用の薬は、服用後4~6時間程度、有効成分が持続するように作られています。
基本的に市販薬の場合、何日にもわたり効果が持続することはないため、妊活や不妊治療中の薬の影響が胎児に悪影響を及ぼす可能性はほとんどないと言えます。
ただし、一部の処方薬では、残留性のある薬剤もあるため、注意が必要です。
『妊娠前に服用した市販薬の影響が残り、妊娠後の胎児の形態的異常(催奇形性)につながる心配はほとんどありません。また、
妊娠に気づかず市販薬を飲んでしまったという場合も、妊娠3週までは「All or None(全か無)」の時期*と言われており、問題なく妊娠が継続できている場合、薬剤の影響がその後まで残ることはない
と考えられています。(叶谷院長)』
*後述の「妊娠中の薬の影響」で詳しく解説。

妊活/不妊治療中の風邪薬や鎮痛薬は卵子に影響する?
採卵前に服用した市販の風邪薬や鎮痛薬が卵子に影響することはないと言われています。
薬を飲まず我慢し、症状が悪化してしまうと、体調回復までに時間がかかってしまうこともあります。
また、体調が回復するまで不妊治療のスケジュールを延期しなくてはいけなくなってしまいますので、
薬が必要なときは服用するようにしたほうが良いでしょう。

なお、不妊治療を行っている方は、採卵に向けた投薬や内服薬などと市販薬の飲み合わせについて不安に思うこともあるかと思います。その場合は、かかりつけ医に確認してから薬を選ぶようにしましょう。
妊活や不妊治療中に、市販薬の服用を避けたほうがよい時期とは?
妊活や不妊治療中は、妊娠していない時期になるため、胎児への影響という観点においては、いつのタイミングでも患者様の体調に必要な市販薬は飲んでいただいて問題ないと言えます。
ただし、薬の服用もしていない健常な妊婦さんでも3%程度の割合で赤ちゃんに先天異常(奇形)が起こり、また15%程度は流産してしまうと言われています。
例えば、妊活中でタイミングをみながら性交渉を行った後や胚移植後は、妊娠初期の症状として体調に変化を感じることもあります。前述のように、この症状に対し服用した市販薬の影響で、胎児の形態的異常につながるリスクはほとんどないと考えられていますが、
後から「あの時、自分が飲んでしまった薬の影響かもしれない…」と、後悔しないためにも、妊活中や不妊治療中で体調が優れない場合は、医師に妊娠の可能性がある旨を伝え、安心して飲める薬を処方してもらうのが良いでしょう。

妊活/不妊治療中に注意が必要な薬とは?ロキソニンは排卵を抑制する?
生理痛がある方は市販されているロキソプロフェンナトリウム水和物が配合された鎮痛薬(NSAIDs:非ステロイド性抗炎症薬*)などを飲まれる方も多いかもしれません。
ただし、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)には、排卵を抑制する働きがあることもわかっています。
そのため、生理痛に対してNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使用することは問題ないと言えますが、排卵時期に何かしらの症状に対処するためNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使用すると、排卵を抑制してしまい、妊活や不妊治療の妨げになってしまう可能性があります。
そのため、
排卵時期に鎮痛薬を必要とする場合は、アセトアミノフェンを成分とした鎮痛薬
を使用されるとよいでしょう。

なお、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)のもつ排卵抑制効果から、不妊治療クリニックでは、採卵前に排卵を抑えるために処方されることもあります。
*NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬):
市販の飲み薬としては、『ロキソプロフェン』、『アスピリン』、『イブプロフェン』などが成分名に書いてある。
花粉症の薬は飲んでも問題ない?
花粉症で、毎年、鼻水やくしゃみ、鼻づまりなどの症状に悩まされている方も少なくないと思います。
『市販されている花粉症の薬(抗アレルギー薬)については、妊活や不妊治療中に飲んでも治療や胎児への影響は心配しなくて大丈夫です(叶谷院長)』

なお、妊娠がわかってからの花粉症対策や薬については、後述の「妊娠中の薬について」をご覧ください。
持病で薬を飲んでいる場合
持病がある場合や持病のために薬を日常的に服用されている方は、妊活や不妊治療を行う前に、必ず主治医に相談するようにしましょう。
持病の治療を行う医師への事前確認
治療のために医師が処方する薬の中には、胎児に影響を及ぼす可能性のあるものもあります。また、妊娠に気づいてから薬の服用を急に中断してしまうと、持病の悪化など母体に影響を及ぼし、そのこと自体が胎児に深刻な影響を与えてしまう可能性もあります。
そのため、まずは持病の治療を行う医師に妊娠を希望している旨を伝え、妊娠や不妊治療に影響がないか、また注意が必要なことがないかを確認するようにしましょう。
不妊治療を行う医師への情報共有
不妊治療は、多くの場合、患者様の状況に合わせ、様々な薬を用いて治療を進めます。
持病の治療を行う主治医だけではなく、不妊治療を行う医師にも必ず
・持病のこと
・服用している薬
・持病の治療を行う主治医の見解
などを伝え、安全に治療が行えるようにしましょう。

妊活/不妊治療中のワクチン接種について
病気を予防するためには大切なワクチンですが、妊活や不妊治療中にワクチンを接種してもよいのか、不安に思われる方も多いと思います。
『風しんワクチンは、もし抗体がないとわかれば妊娠前に接種したほうが良いです。
お母さんが妊娠中に風しんウイルスに感染することで胎児も感染してしまい、「先天性風しん症候群」という、出生児に難聴や先天性心疾患、白内障などの病気が現れることがあります。
そのため、近年は多くの自治体が、抗体検査の費用や予防接種の費用を助成しています。
注意点としては、
風しんワクチン接種から2ヶ月は避妊しなくてはいけません。ただし、意図せず2か月以内に妊娠が判明した場合でも、ガイドライン上は、ワクチン接種を理由に堕胎する必要はないとされています。
なお、不妊治療をしている場合、風しんワクチンの接種時期に関係なく採卵はできますが、
ワクチン接種から2ヶ月は、胚移植や人工授精はできません。
(叶谷院長)』


男性パートナーの薬服用による影響について
男性パートナーが市販薬を服用したことによる胎児の催奇形性への影響はほとんどないと考えられています。*
*一部の処方薬については、この限りではありません。

男性パートナーが服用した薬については、
・精液への移行
・精子への影響
の2つが考えられます。
精液中に市販薬の成分が移行したとしても、
精液により女性の体にまで大きな影響を及ぼすことはほとんどない
と言えるでしょう。
また、薬の成分が精子に影響し、精子に異常がある場合、妊娠は成立しづらくなります。
なお、妊活や不妊治療への影響という観点では、
・降圧剤や抗うつ剤、AGA治療薬など→副作用として勃起不全
・男性型脱毛症治療薬の「フィナステリド」→精子形成を妨げる
などが
一部の処方薬で妊活や不妊治療、また胎児への影響が報告されている
ため、男性も妊活や不妊治療に取り組む際は、主治医に薬の影響を確認するようにしましょう。
妊娠中の薬
妊娠中は赤ちゃんのためにもできるだけ薬を飲みたくないと思われるかもしれませんが、
「飲まない」という選択が必ずしも正しいとは言えません。
母体のためにも、薬を服用し、お母さんの体調を良くすることが結果赤ちゃんのためになることもあります。
そのため、妊娠中の薬服用に関しては
・正しい知識を持つこと
・事前に医師や薬剤師に相談をする
ということが重要です。
『妊娠中の薬の服用による胎児への影響について、妊娠初期の薬服用による「催奇形性」を心配される方が多いですが、「胎児毒性」についても知っておく必要があります。
ただし、体調が悪いのに、赤ちゃんのことを考えてすべての薬を飲まないほうが良いかというとそうではありません。
妊娠中は絶対禁忌の薬や飲んでも飲まなくてもいいような薬を除き、母体(お母さん)が必要とする薬は、飲んでいただいたほうが良いでしょう。
なお、妊娠や胎児に影響を与える薬もあるため、妊娠中の服薬はご自身で判断せず、医師に妊娠している旨を伝え、確認してから飲むようにしましょう。(叶谷院長)』


妊娠3週までは、「All or None(全か無)の時期」
妊娠3週までは「All or None(全か無)の法則」の時期と言われており、この時期に胎児に影響を及ぼす可能性のある薬を服用したことによる影響があった場合、受精卵(胚)が着床しない、あるいは流産となります。反対に、問題なく妊娠が継続できている場合、薬剤の影響がその後まで残ることはないと考えられています。
妊娠に気づく前の市販薬の服用はほとんど心配なし
妊娠に気づく前に風邪薬や頭痛薬、解熱鎮痛薬を飲んでしまい、妊娠が判明した後に心配になることもあると思います。
上記の通り、
その時期に市販薬を飲んでしまっていても、胎児の形態的異常(催奇形性)の心配はほとんどない
とされています。
なお、妊娠中に市販薬を選ぶ際は解熱鎮痛剤の成分に注意しましょう。「アセトアミノフェン」は、妊娠初期に服用しても胎児の形態的異常への影響は認められていません。
妊娠4週~7週は、胎児の器官形成に影響を及ぼしやすい時期
妊娠期間中の中でも、赤ちゃんの脳や心臓、神経など重要な器官形成が行われる妊娠4~7週までは、薬の影響を受けやすく、胎児に形態的異常(催奇形性)が起こるリスクがあります。
なお、8週から12週末頃まで、口蓋や性器の形成は続いているため、薬の影響がこれらの形成に影響を及ぼす可能性があります。
妊娠13週以降は胎児毒性に注意
妊娠13週から分娩までは、薬の服用による催奇形性のリスクは少なくなりますが、胎児毒性に注意が必要となります。
胎児毒性とは、母体(妊婦)が服用した薬が胎児の発育障害や臓器機能の悪化、死亡、出生後の子どもの発育などに悪影響を及ぼすことです。
▶妊娠週数の数え方や妊娠初期の症状チェックリストに関してはこちらから
市販の薬で注意が必要なもの
身近な市販薬でいうと、例えば
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に分類されるロキソプロフェンやイブプロフェンは、胎児動脈管早期閉鎖を起こすおそれがあるため、妊娠後期(28週以降)の使用が禁忌
とされています。*
妊娠中の頭痛や発熱にはアセトアミノフェンが処方されることが多いと言えます。

市販薬を購入する際は、
・市販薬のパッケージの「使用上の注意」で『妊婦には避けるべき』といった記載がないかを確認する
・念のため、薬剤師にも妊娠していることを伝え、問題のないかを確認する
と良いでしょう。
*ロキソプロフェンやイブプロフェンに関しては、使用上の注意について、一部変更されました。
出典:「医薬品の使用上の注意の改訂について(令和6年10月24日)」一部改訂該当箇所No.24~26
花粉症の薬は飲んでも問題ない?
妊娠をきっかけに、それ以前よりも花粉症の症状を強く感じる方もいます。
その理由は、女性ホルモンの変化にあります。

妊娠をきっかけに女性ホルモンの一つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が増えることで、鼻の粘膜や血管・自律神経にも影響を与えます。
花粉症の症状は、母体の体調にも影響を与えるため、症状がつらい場合は、無理をせず、症状にあった薬を服用することも大切です。
ただし、基本的に薬剤の添付文書には、妊婦・授乳婦が使用してよいという記載はないため、判断に困る方も多いと思います。
妊娠中は、第二世代抗ヒスタミン薬と言われる
ロラタジン(クラリチンⓇ)
セチリジン(ジルテックⓇ)
レボセチリジン(ザイザルⓇ)
デスロラタジン(デザレックスⓇ)
は、免疫データも多く比較的安全性が高いとされています*が、妊娠中はできるだけ自己判断で薬を使用せず、主治医やかかりつけ医に妊娠中でも安心して使用できる薬を処方してもらうのが良いでしょう。
*参考文献「妊婦・授乳婦への薬物投与 表 2 第二世代抗ヒスタミン薬の妊娠中の使用」
『フェキソフェナジン(アレグラⓇ)を妊娠中に飲んでも問題ないかと、患者さんから質問をいただくこともあります。妊娠中の胎児への影響という観点で論文*もでており、その内容からも問題ないと言えます。(叶谷院長)』

なお、妊娠初期など、どうしても薬は服用したくないという場合は、点眼薬や点鼻薬で経過観察するという方法もあります。医師や薬剤師に相談すると良いでしょう。
妊娠に気づかず、薬を服用してしまうとどうなる?
『妊娠に気づかず、風邪薬や鎮痛薬などを飲んでしまったとしても、すぐにその影響で何か起こるとは考えづらいため、そこまで心配いただく必要はないと言えます。
ただ、抗生剤については、注意いただいたほうが良いでしょう。基本的に、一般的に使われる抗生剤のほとんどは妊娠中でも大丈夫なのですが、一部避けたほうが良い薬もあるため、抗生剤を処方してもらう場合は、医師に妊娠中あるいは妊娠の可能性がある旨を伝えるようにしてください。また、市販の総合感冒薬には、抗ヒスタミン薬やアセトアミノフェン、カフェインなど、様々な成分が入っていることがあり、判断が難しいこともあるかもしれません。その場合は医師に相談いただければと思います。(叶谷院長)』


妊娠に気づかず、薬を服用してしまった場合、基本的には、妊娠・出産のために通院している医療機関の担当医に相談いただくのが良いでしょう。
ただし、まだ医療機関で診察を受けていない場合や、セカンドオピニオンとして話を聞きたい場合は、例えば、国立成育医療研究センターでは、妊娠していることに気づかずお薬を飲んでしまい心配という場合などの相談も受け付けています。
妊婦には「禁忌の薬」「慎重に判断する薬」「服用できる薬」がある
妊娠したらすべての薬を飲んではいけないというわけではありません。
薬の中には、妊娠中でも服用ができるものや、時期によっては服用できるものもあります。
妊婦には禁忌の薬
ただし、中には妊婦には「禁忌の薬」の薬もあります。
禁忌の薬は、「催奇形性」や「胎児毒性」など赤ちゃんに危険を及ぼす報告があるもの
などです。
これらの薬の中には持病の治療薬として使われているものもあります。使用を中断することで、お母さんが危険な状況になってしまうこともあるため、持病のある方は、妊娠前に予め主治医に相談するようにしましょう。また、持病の薬を服用中に妊娠に気づいた場合は、自己判断で服用を中止するのではなく、必ず主治医に相談をしてください。
▶参考「妊娠または妊娠している可能性のある婦人に禁忌の主な医薬品リスト」出典:日本医師会
注:2007年3月時点での各医薬品の添付文書から抜粋してまとめられたものです。薬に関して評価など、変更が生じている可能性もある他、全て網羅されているわけではないので、あくまで参考に留めてください。
妊婦の服用は慎重に判断すべき薬
「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」としている薬もあります。
例えば、便秘薬として使われる緩下剤センノシドもその一つです。
大量に投与した場合、子宮収縮を誘発し、流早産の危険性があるとされています。
漢方薬にも副作用がある
漢方薬は副作用が少ないと思われている方もいるかもしれませんが、子宮収縮など妊娠継続に影響を与える作用をもつ漢方もあります。
自己判断で漢方を服用することはせず、医師や薬剤師に妊婦が服用しても問題ないかを確認するようにしましょう。
ワクチン接種
前述の妊活時の薬でも記載した通り、妊婦さんは、
風疹ワクチンの接種ができません。風疹ワクチン後は2か月間妊娠を避ける必要があります。
ただし、
意図せず2か月以内に妊娠が判明した場合でも、ガイドライン上は、ワクチン接種を理由に堕胎する必要はない
とされています。
なお、毎年インフルエンザが流行しますが、インフルエンザのワクチン接種に関しては、妊娠中いつでも可能です。インフルエンザが重症化すると母体や赤ちゃんを危険にさらすことになるため、予防接種により重症がしないように対策することも大切です。
サプリメントや栄養ドリンク、エナジードリンクにも注意が必要
妊娠中は薬だけではなく、サプリメントや栄養ドリンクについても気を付けたいことがあります。

ビタミンAは大量に摂取すると胎児の奇形リスクが高まる
ビタミンAには子宮環境を整える働きがあるとされていますが、妊娠初期にビタミンA(レチノール)を大量に摂取すると、胎児の奇形リスクが高まることがわかっています。また、ビタミンAは、サプリメントだけではなく、食品にも含まれています。
例えば、レバーはビタミンAが非常に豊富です。週に1回程度にすることや、650㎍RAE(18~29歳の場合)~700㎍RAE(30~49歳の場合)程度に留めるようにしましょう。*
*「日本人の食事摂取基準(2025年版)」より
妊娠中にも大切な栄養素である「葉酸」や「ラクトフェリン」については、以下で詳しくご紹介しています。
栄養ドリンクやエナジードリンクに含まれるカフェインに注意
栄養ドリンクやエナジードリンクにはカフェインが含まれるのをご存じでしょうか。
妊婦さんがカフェインを摂り過ぎることにより、
流産や出生児が低体重となるリスクが高くなる可能性
があります。そのため、妊娠している女性は、一日当たり、カフェイン摂取量を200 mg(コーヒーをマグカップで2杯程度)に制限するよう求めています。
医薬部外品の栄養ドリンクは、カフェインの含有量に規定があり、50mg(1日量)までとされています。
一方、エナジードリンクは、食品の清涼飲料水に分類され、
カフェインの含有量や摂取量に制限は設けられていません。そのため、1本で150mg近くのカフェインが含まれるエナジードリンクもあります。
栄養ドリンクやエナジードリンク1本あたりのカフェイン含有量は200mg以下でも、それ以外にコーヒーや緑茶などカフェインを含む飲み物を摂取している場合、1日のカフェイン摂取量をオーバーしてしまう可能性があるので、注意が必要と言えます。
▶「妊活中いつならお酒を飲んでも良い?お酒以外で控えるべき飲み物や医師お勧めの飲み物も紹介」でも、カフェインについて医師が解説しています。あわせてご覧ください。
妊活中や妊娠中の薬服用に関するまとめ
今回は、妊活中や妊娠中の薬服用による不妊治療や胎児への影響についてご紹介しました。
・妊娠前に服用した市販薬の影響が残り、妊娠後の胎児の形態的異常(催奇形性)につながる心配はほとんどない。
・妊娠に気づかず市販薬を飲んでしまったという場合も、妊娠3週までは「All or None(全か無)」の時期と言われており、問題なく妊娠が継続できている場合、薬剤の影響がその後まで残ることはないと考えられている。
・鎮痛薬(NSAIDs:非ステロイド性抗炎症薬)には、排卵を抑制する働きがあることがわかっている。生理痛に対して使用することは問題ないが、排卵時期に使用すると、排卵を抑制してしまい、妊活や不妊治療の妨げになってしまう可能性がある。
・妊活や不妊治療中に市販の花粉症の薬(抗アレルギー薬)を飲んでも、治療や胎児への影響は心配しなくてよい。
妊娠中は、第二世代抗ヒスタミン薬と言われるロラタジン(クラリチンⓇ)やセチリジン(ジルテックⓇ)、レボセチリジン(ザイザルⓇ)、デスロラタジン(デザレックスⓇ)が、免疫データも多く比較的安全性が高いとされているが、自己判断せず、主治医やかかりつけ医に妊娠中でも安心して使用できる薬を処方してもらうのが良い。
・男性パートナーが市販薬を服用したことによる胎児の催奇形性への影響はほとんどないと考えられているが、一部の処方薬では注意が必要なものもある。
・妊娠中の薬の服用による胎児への影響については、「催奇形性」と「胎児毒性」がある。
・妊娠に気づく前の時期(妊娠3週まで)に市販薬を飲んでしまっていても、胎児の形態的異常(催奇形性)の心配はほとんどないとされている。
・妊娠4週~7週は、薬の服用により、胎児の器官形成に影響を及ぼしやすい時期。妊娠13週から分娩までは、薬の服用による催奇形性のリスクは少なくなるが、胎児毒性に注意が必要。
・市販薬で、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に分類されるロキソプロフェンやイブプロフェンは、胎児動脈管早期閉鎖を起こすおそれがあるため、妊娠後期(28週以降)の使用は禁忌。
・妊娠中は、薬だけではなく、ビタミンAや栄養ドリンク、エナジードリンクにも注意が必要。
この記事の監修者
レディースクリニックなみなみ
叶谷愛弓 院長
2004年 桐蔭学園高校 卒業
2010年 東京女子医科大学 医学部 卒業
2012年 東京大学医学部 産科婦人科学講座 入局
2021年 東京大学医学系大学院 卒業
東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。
[資格]
医学博士
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
日本産科婦人科遺伝診療学会 認定医
FMF認定超音波医
[所属学会]
日本産科婦人科学会
日本周産期新生児学会
日本女性医学会
人類遺伝学会
日本産科婦人科遺伝診療学会
