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    女性不妊になりやすい人の特徴チェック|症状・原因・受診の目安を医師が解説

    女性不妊になりやすい人の特長


    2022年からは体外受精や顕微授精なども保険適用となりました。不妊治療をされる方は増加傾向にあり、2023年に国内で実施された体外受精で生まれた子どもの割合は約8人に1人となっています。(2025年8月29日日本産科婦人科学会発表データより)
    不妊治療には女性の年齢が大きく関係するため、早期に治療を開始することが妊娠率や出産率の観点では重要ですが、ご自身が不妊症かもしれないと思われるまでに時間を要する方もいらっしゃいます。

    そこで、今回は、はやしARTクリニック半蔵門の院長・林 裕子先生に女性不妊になりやすい人の特徴や将来の妊娠に備え、今からできることなどにについてお話を伺いました。

    *患者様向けにわかりやすく説明するため、厳密な薬理作用や生理学的な機序とは異なる内容が含まれます。


    はやしARTクリニック半蔵門 林裕子医師

    執筆者:Varinos編集部

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    女性不妊になりやすい人の8つの特徴(セルフチェックリスト)

    不妊症の原因は様々ですが、産婦人科系の疾患や感染症への罹患、生活習慣、年齢など、複数の要因が影響していることもあります。医療機関で検査を行わないと見つけられないものもありますが、まずはご自身で不妊に関連するリスクがどの程度あるかセルフチェックいただくのも一つの方法です。

    以下は、不妊症に関連する可能性のある項目です。

    女性不妊になりやすい人とは?セルフチェックリスト

    ①月経異常がある

    月経周期が25日以下または38日以上、毎回ばらつきが大きい、月経が極端に軽い・重いなどは、排卵障害やホルモンバランスの乱れ、甲状腺異常や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)といった疾患が隠れていることがあります。

    極端に短い・長い、毎回のバラつきが大きいといった月経周期が続く場合は、医療機関を受診しましょう。


    ②子宮内膜症・子宮筋腫など婦人科疾患の既往がある、または月経痛や性交痛などの症状がある

    子宮内膜症とは、子宮内膜あるいはその類似組織が子宮内膜以外の場所に存在する疾患です。卵巣や卵管、子宮筋層、腹膜、子宮と直腸の間、子宮と膀胱の間などにでき、他の臓器との癒着を起こします。卵巣にできると「チョコレート嚢胞(のうほう)」と呼ばれます。

    子宮内膜症だからと言って、必ず不妊になるわけではありません

    が、卵管の癒着、排卵の妨げ、着床障害など、多方面で妊娠に影響を及ぼす可能性があり、

    30~50%が不妊症になる

    という報告もあります。*

    子宮内膜症の図解

    *出典:Endometriosis and infertility: a committee opinion

    子宮内膜症の症状に「痛み」があります。

    子宮内膜症の患者さんの9割に月経痛(月経困難症)がみられるほか、月経でないときも絶えず下腹部や腰の痛み、排便や性交時に痛みを感じる

    方もいらっしゃいます。

    過去に子宮内膜症と診断を受けていない場合でも、これらの症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

    また子宮筋腫とは、子宮の内外にできる良性の腫瘍です。子宮筋腫の大きさやできる場所によって症状が異なり、過多月経やそれに伴う鉄欠乏性貧血、月経痛といった症状が出る場合もあれば無症状の場合もあります。
    子宮筋腫の中でも「粘膜下筋腫」が着床に影響を与えると考えられています。

    子宮筋腫の図解

    [関連記事]

    着床不全の原因になりうる慢性子宮内膜炎や子宮内膜症、子宮筋腫などの症状や治療法について詳しく解説


    ③性感染症(特にクラミジア)にかかったことがある

    性感染症は卵管炎や卵管閉塞(へいそく)・狭窄(きょうさく)を引き起こし、受精や着床を妨げる可能性があります。

    過去にクラミジアに感染したことがある方は、不妊原因になる可能性があるため、医療機関で詳しく検査してもらうのがよいでしょう。
    なお、女性がクラミジアに感染した場合、自覚症状がないケースも多いですが、おりものの量や色の変化や不正出血、下腹部痛の症状がみられることもあります。こういった症状がある場合は、放置せず早めに医療機関を受診しましょう。

    ④タバコを吸っている(習慣的に吸っていたことがある)

    喫煙は卵子の質が低下するほか、閉経を早める

    *こともわかっています。


    『タバコは心が落ち着く以外に何も良いことはないと患者さんにもお伝えしており、不妊治療を始める際には禁煙をお願いしています。(林院長)』

    *出典:”Risk factors for natural menopause before the age of 45: evidence from two British population-based birth cohort studies

    ⑤過度なダイエットにより体重が大幅に減少している

    『急激な体重減少や摂取エネルギー不足、過剰な運動により、視床下部がエネルギー不足状態と判断すると、生殖機能に必要なGnRH分泌が抑制され、無月経が起こることがあります。
    これは、体が生殖機能よりも生命維持を優先するために生じる神経内分泌学的な適応反応です。(林先生)』

    ⑥極度のストレスがかかっている

    『極度のストレスがかかると、視床下部がストレス状態と判断し、生殖に必要なGnRHの分泌が抑制されます。
    その結果、下垂体からのLH・FSH分泌が低下し、卵胞が十分に発育せず、排卵が起こらなくなることがあります。
    これは、体が生殖機能よりも生命維持を優先するために起こる神経内分泌学的な適応反応です。(林先生)』

    ⑦30代後半〜40代で妊娠を希望している

    女性の卵子は加齢とともに質・量が低下します。35歳を過ぎると妊娠率は低下し流産率が上昇していくこともわかっています(下図)。不妊の原因の中でも女性の「加齢」による影響は大きいと言えます。

    ART妊娠率・出産率・流産率2023
    「2023年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績」を元にVarinosが作成

    不妊症は、避妊をせずに定期的な性交渉を行っているにもかかわらず、1年間妊娠に至らない状態と定義されています。ただし、35歳以上の方の場合、適切にタイミングを取り性交渉しても妊娠されない場合、1年を待たず早めに不妊治療クリニックなどの医療機関を受診されるのがよいでしょう。

    ⑧家族に早発卵巣不全や多嚢胞性卵巣症候群と診断された方がいる

    多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は母親や姉妹に同疾患がある場合、本人の発症リスクが高まることが知られています。

    一方、早発卵巣不全(POI)でも一部に家族内発症がみられますが、多くは散発例であり、家族歴がない場合でも発症することがあります。

    ―早発卵巣不全
    早発卵巣不全は、20〜30代と若いうちに月経が起こらなくなる疾患です。女性ホルモンを分泌する能力が低下し、排卵が起こらない、また卵巣に残っている卵子が少ないことで妊娠が難しくなります。

    早発卵巣不全の図解

    ―多嚢胞性卵巣症候群
    多嚢胞性卵巣症候群は、排卵障害の原因となることで、不妊につながる可能性があります。生理不順などの症状がある場合は早めの検査を受けることが大切です。

    多嚢胞性卵巣症候群の図解

    遺伝要素があるとはいえ、必ず発症する、また必ず不妊になるという意味ではありません。

    しかし、家族にこれらの疾患を持つ方がいる場合は、早めに検査を受けることが、将来の選択肢を広げることにつながります。


    女性不妊の原因と診断

    女性不妊は「排卵因子」「卵管因子」「子宮因子」「子宮頸管因子」「免疫因子」などに分類されます。それぞれで原因となる疾患や症状、必要な検査が異なります。
    ここでは分類ごとに詳しく解説します。


    ①排卵因子

    排卵因子は女性不妊原因の中でも多く、卵管因子・男性不妊と並び、不妊症の3大原因

    といわれることもあります。

    通常、脳(視床下部・下垂体)や卵巣からホルモンが分泌されることで卵胞の成長や排卵が起こりますが、この仕組みのどこかに異常があると卵胞がうまく育たない、育っても排卵されなくなり、不妊の原因となります。


    原因となりうる疾患と原因を調べる検査

    排卵因子の主な原因や疾患には以下があります。

    ●卵巣機能異常

    卵巣が正常に働かなくなり、月経周期の乱れや無月経など、さまざまな障害が引き起こされる状態を卵巣機能異常と言います。
    主な検査:血液検査でのホルモン値測定や経腟超音波検査での卵巣の状態確認

    ●多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

    卵巣に小さな卵胞が多数形成され、排卵しにくくなる疾患。月経不順や排卵障害の原因となります。
    主な検査:経腟超音波検査で卵巣内の卵胞の状態を確認するほか、血液検査

    ●早発卵巣不全(POI)

    卵巣の機能が20~30代と若いうちに低下し、排卵が起きにくくなる状態。遺伝的要因や自己免疫が関係していることもあります。
    主な検査:経腟超音波検査で子宮や卵巣の大きさ、卵胞の有無などを検査するほか、血液検査でホルモン値や抗ミュラー管ホルモン(AMH)を確認
    場合によっては、甲状腺や副腎、糖尿病に関連する検査を行うこともある

    ●甲状腺機能異常

    甲状腺ホルモンは生殖機能と密接に関係しており、過剰(バセドウ病など)でも、不足(橋本病など)しても生理不順や排卵障害を引き起こすことがあります。
    主な検査:血液検査で甲状腺ホルモンや自己抗体を調べるほか、超音波検査なども実施

    ●高プロラクチン血症

    脳下垂体から分泌されるホルモン・プロラクチンは、妊娠中の女性の乳房の発達を促し、出産後に母乳をつくる働きがあります。妊娠中や授乳中ではないのにプロラクチンが多すぎると、生理不順や無月経症になることがあります。
    主な検査:血液検査でプロラクチン値を測定

    ●過度なダイエット・低体重・ストレス

    極端な体重減少や過度な心身ストレスで排卵が止まるケースがあります。
    主な検査:血液検査によるホルモン値の確認や経腟超音波検査で排卵や卵胞の状態を確認


    ②卵管因子

    卵管因子は排卵因子と並び女性不妊として多い原因です。

    卵管は卵巣から排卵された卵子をキャッチし、精子と出会わせ、受精した胚を子宮へ運ぶ重要な役割を担っています。そのため、卵管閉塞や卵管狭窄、卵管周囲癒着などがあると、妊娠は成立しにくくなります。

    原因となりうる疾患と原因を調べる検査

    卵管因子の主な原因や疾患には以下があります。

    ●骨盤腹膜炎

    卵管を含めた骨盤内の臓器に感染が広がることで引き起こされる炎症です。感染が進行すると卵管の癒着や閉塞を引き起こし、不妊や子宮外妊娠のリスクを高めることがあります。
    主な検査:血液検査による炎症の有無の確認、臓器の状態や膿の塊の有無を確認するための超音波検査(経腟/経腹)やCT、MRI、原因菌を特定するための細菌検査などが行われる

    ●子宮内膜症

    子宮内膜あるいはその類似組織が子宮内膜以外の場所に発生し、癒着などを引き起こす疾患です。癒着によるピックアップ障害や卵巣機能低下などが不妊原因になる可能性があります。
    主な検査:超音波検査、悪性腫瘍の可能性を否定するための血液検査、また精密な検査が必要な場合にはMRI検査などが行われる

    ●クラミジア感染

    性感染症(STD)の一つで、性行為などを介して粘膜から感染します。自覚症状が乏しいことが多く、放置すると子宮頸管炎や卵管炎などを引き起こすほか、炎症が治った後も卵管が癒着してしまい不妊原因になることがあります。
    主な検査:過去に感染したことがあるかを調べる血液検査(クラミジア抗体検査)、現在感染しているかを調べる腟分泌物より調べる検査(クラミジア抗原検査)を実施

    卵管の通過性を調べる検査とは?

    実際、卵管に閉塞や狭窄、癒着などがないかを調べるには、子宮卵管造影検査(HSG)が行われることもあります。
    子宮卵管造影検査は子宮から造影剤を流し込み、卵管の通過性を確認する検査です。軽度狭窄の場合は検査自体が治療的効果を持つこともあります。

    卵管造影検査の説明

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    卵管造影検査はなぜ痛い?理由や痛みを和らげる方法とは?

    ③子宮頸管因子

    精子が子宮内へ進む際の「通り道」である頸管に問題が生じ、精子が十分に子宮へ到達できなくなることがあります。

    原因となりうる疾患と原因を調べる検査

    子宮頸管因子の主な原因には以下があります。

    ●頸管粘液の異常

    通常、排卵期には頸管粘液が増え、透明で水っぽい糸を引くような性状になることで、精子の通過を助ける働きをします。しかし、ホルモンバランスの乱れやクラミジアをはじめとした性感染症や細菌性膣症などによる頸管粘液の性状変化がおこると、精子が子宮内へ上がりにくくなります。
    主な検査:排卵期に性交後、4時間から12時間後の子宮頸管粘液を採取して、運動性を保った精子がどのくらい存在するかを調べる頸管粘液検査(フーナーテスト)を実施。感染症の疑いがある場合は、性感染症や細菌性腟症に関する検査を追加で行う。

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    ④子宮因子

    子宮因子は、受精卵が着床する子宮に問題があるケースです。良好な胚を3回以上移植しても妊娠しない「反復着床不全」や、妊娠できても流産や死産を繰り返してしまう「不育症」の原因となることもあります。

    原因となりうる疾患と原因を調べる検査

    主な原因となる疾患には以下があります。

    ●子宮筋腫

    子宮の内外にできる良性の腫瘍です。

    子宮筋腫の中でも「粘膜下筋腫」が着床に影響を与える

    と考えられています。

    主な検査:経腟超音波検査やMRI検査を実施

    ●子宮内膜ポリープ

    子宮内腔にできる基本的には良性の腫瘍です。

    子宮内腔に飛び出すような形で発生します。

    大きさは様々で、1cm未満のものから数cmほどの大きさになるものもあります。また複数発生する場合もあります。内膜の一部が隆起した状態になることで、着床を妨げることがあります。
    主な検査:経腟超音波検査や子宮鏡検査を実施

    ●子宮腺筋症

    子宮の筋肉にあたる筋層内に子宮内膜と似た組織ができ、増殖と剥離を繰り返すことで

    子宮の壁が厚くなり、子宮全体が大きくなる疾患

    です。

    主な検査:経腟超音波検査やMRI検査を実施

    ●慢性子宮内膜炎・子宮内フローラの異常

    慢性子宮内膜炎は、子宮内膜に長期間にわたって炎症が起こる状態で、不妊症患者さんの2.8~39%、反復着床不全の方は30~60%に慢性子宮内膜炎を認めるといわれています。症状が乏しいと言われており、気づかないうちに不妊の要因になっているということも珍しくありません。

    慢性子宮内膜炎の原因はさまざまですが、

    中でも細菌感染によるものが多い

    とされています。

    子宮内は、善玉菌・ラクトバチルスが多い状態を正常と考えるため、このように子宮内に炎症を起こす悪玉菌が増え、善玉菌であるラクトバチルスが少ない(あるいはいない)状態は子宮内フローラが異常ということになります。

    子宮内に炎症が起こっていると免疫が活発になり、精子や受精卵までも異物として攻撃し、着床しない・着床しても妊娠が継続できなくなる可能性があります。

    子宮内の菌環境のことを子宮内フローラといい、子宮内フローラ検査により炎症の原因となっている菌が特定できれば、菌に応じた治療を行うことで改善可能なことが多く、適切な治療介入で妊娠率が上昇することもわかってきています。

    主な検査:子宮鏡検査、CD138、子宮内フローラ検査

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    ●子宮奇形

    生まれつき子宮の形が通常と異なる状態。子宮奇形があっても問題なく妊娠・出産される方もいらっしゃいますが、中隔子宮など、受精卵が着床できても、流産につながりやすいケースもあります。

    主な検査:3D/4D超音波検査、子宮卵管造影検査、MRI、子宮鏡検査

    ●子宮発育不全

    病名として確立された概念ではありませんが、子宮が正常な大きさに比べ小さい場合に、子宮発育不全という診断名を用いることがあります。

    主な検査:経腟超音波検査、MRI検査、子宮卵管造影、子宮鏡検査

    ●アッシャーマン症候群(子宮内癒着)

    掻爬(そうは)術や感染症などにより炎症が起こり、子宮内組織同士が癒着してしまっている状態のことを言います。子宮内膜が十分な厚さに成長せず受精卵が着床しにくくなるため、不妊や流産、早産などの原因となります。

    主な検査:子宮鏡検査、子宮卵管造影検査


    ⑤免疫因子

    免疫因子による不妊は、体が精子や胚(受精卵)を「異物」とみなし攻撃してしまうことで起こります。

    原因となりうる疾患と原因を調べる検査

    主な原因には以下があります。

    ●抗精子抗体

    代表的なのが抗精子抗体で、精子が子宮内へ侵入するのを妨害し、正常に運動できないようにしてしまいます。

    主な検査:抗精子抗体検査(女性の血清に精子を加え、時間経過とともに精子の運動率を測定)を実施


    ⑥原因不明

    WHOによると、全不妊症のうち11%が「原因不明」とされています。

    不妊の原因がわからないのは、とてももどかしく不安だと思いますが、原因不明の不妊でも、タイミング法や人工授精、体外受精、顕微授精といったステップを踏むことで妊娠できる場合もあります。
    また不妊治療は日進月歩で、以前は良好な胚を移植しても妊娠できず子宮に見えない何かしらの要因があるはずなのにわからず原因不明とされていた子宮内の菌環境も検査技術が発展し、今では子宮内フローラ検査で菌環境を調べることができ、治療ができるようになってきているものもあります。

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    ⑦加齢

    女性不妊の要因として大きいのが年齢です。
    卵子は年齢とともに「数」と「質」が低下し、35歳頃から妊娠率が低下し流産率が上がることがわかっています(前述)。
    出生時100~200万個あった卵母細胞は、10代で30万個、20代で10万個、30代で2~3万個、40代では1万~1,000個程度になり、閉経で検出できなくなるまで加齢にともなって減少していくとされています。卵子の数の減少は、採卵できる個数にも影響します。

    また、年齢と共に卵子の染色体異常が増えることもわかっており、受精しても胚の発育がうまく進まない、あるいは流産してしまう確率が高まります。

    年齢による卵子の数の変化


    不妊治療は年齢による影響が大きいため、35歳以降から妊活を始める場合、なかなか妊娠しないと感じたら、早めに不妊治療を行う医療機関を受診することが妊娠の可能性を高めることにつながります。


    将来の妊娠のためにできること

    近年はプレコンセプションケアという言葉を用い、自治体なども啓発を行っています。
    ここでは将来の妊娠を考え、今からできることについて林先生に伺いました。

    食事・栄養(葉酸/ビタミンDなど)

    厚生労働省は、赤ちゃんの二分脊椎(神経管閉鎖障害)のリスク低減の観点から、妊娠を希望する女性に対し、食事に加えてサプリメント等で1日400µgの葉酸摂取を推奨しています。それだけではなく、葉酸は妊娠率の向上や流産率の低下、また産後うつの軽減との関係もわかってきている大切な栄養素です。


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    さらに近年注目されているのが「ビタミンD」です。ビタミンDが充足していると着床率や妊娠率、出産率が高く、化学流産率・自然流産率が低い、また40歳以上の女性ではAMHが高いことなどがわかっています。
    近年の食生活や日焼け対策により、日本人女性の多くがビタミンD不足と言われています。日光や食べ物からだけで十分な量のビタミンDを補うことは難しいため、サプリメントを活用するのも一つの方法です。

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    体重管理

    BMIが18.5未満の痩せすぎや25以上の肥満は、いずれも無月経や排卵障害を引き起こすリスクがあります。

    『肥満は排卵障害の原因となることがわかっています。肥満かつ多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS)と診断されている方は、減量することで排卵誘発剤を飲まなくても排卵する可能性があります。

    また肥満は妊娠中の合併症リスクも上がります。ただし、痩せすぎも良くありません。(林先生)』

    まずは、ご自身のBMIを計算し、痩せすぎや肥満に該当するようであれば、未来の妊娠力を守るためにも、運動や食生活を意識し、健康的な体型づくりを意識すると良いしょう。


    BMIの計算式

    BMI = 体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}

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    排卵のタイミングについて知る

    妊活の最初のステップともいえるのが、排卵日に合わせて性交渉を行うことです。

    一番妊娠しやすいのは「排卵日当日」よりも、排卵日の1〜2日前

    とされており、この期間に精子が卵管内に待機している状態が理想です。

    排卵日を予測する方法としては、以下が挙げられます。

    1.排卵日予測検査薬を活用し、排卵日を予測
    2.おりものの状態から予測
    3.基礎体温の変化から予測

    生理周期が規則的な方は、基礎体温により排卵日を予測することもできますが、

    不規則的な方はご自身で排卵日を予測するのは難しい

    と言えます。

    また排卵日予測検査薬は基本的に

    排卵日を約1日前に予測

    できるものです。陽性が出た場合は、

    なるべく早くタイミングをとることが重要

    です。

    注意点としては、

    多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方でLHホルモンの分泌が慢性的に高い場合は排卵と全く関係のない時に排卵日予測検査薬を使用しても陽性(偽陽性)となってしまう場合があり、この方法で排卵日を予測することは難しい

    と言えます。

    月経周期が不安定な方や排卵しているかわからない方は、医療機関で確認してもらうほうが良いでしょう。

    [関連記事]
    一番妊娠しやすい日はいつ?排卵日の計算方法や体の変化で予測する方法


    ストレスケア

    ストレスは自律神経やホルモン分泌に直接影響を与え、排卵障害、生理不順、卵子の質の低下につながることがあります。慢性的なストレスが続くと、脳の視床下部が影響を受け、排卵の指令を出すホルモンが乱れやすくなるため、妊娠を希望する女性にとってストレスケアは重要です。
    ウォーキングやヨガなどの軽い運動は、ストレス軽減とホルモンバランスの安定に効果的とされています。また、睡眠不足はメラトニンの分泌を減少させ、卵子の質を低下させる可能性もあります。そのため、睡眠時間や質を見直されるのもよいでしょう。

    各種検査の受検

    これまでご紹介してきたように、不妊の原因は様々ですが、検査でわかることもあります。
    例えば、AMH検査(抗ミュラー管ホルモン)は、“卵子の残量(卵巣予備能)”を調べることができます。AMH値が低かった場合は早めに妊活や不妊治療を開始するなど、少しでも早い段階からご自身のAMHを把握しておくことで、将来の妊娠計画に役立てることができます。
    自治体によっては、プレコンセプションケアに関連する検査費用の助成がある場合もあります。
    なお、東京都では以下の検査が対象となっており、3万円まで助成されます(条件あり)。*

    ・尿検査(たんぱく、糖)
    ・血液検査(Fe(鉄)、TP(総蛋白)、コレステロール、糖、腎機能)
    ・麻しん抗体検査
    ・B型肝炎検査
    ・C型肝炎検査
    ・感染症検査(梅毒、淋病、クラミジア、HIV)
    ・AMH検査
    ・甲状腺ホルモン検査
    ・経膣超音波検査
    (子宮サイズ、卵巣サイズ、腫瘍有無、嚢胞多い少ない)
    ・女性ホルモン検査
    (エストロゲン、プロゲステロン、LH、FSH、プロラクチン) 

    東京都のプレコンセプションケアに関する助成について

    将来の妊娠、そして健康のためのがん検診

    『妊活を始めたいと思って来院され、思わぬ疾患が見つかることもあります。その場合、治療が優先されるため、妊活は先送りとなってしまいます。
    性交渉経験がある方は子宮頚がん検診が必須ですし、女性に多い乳がんや大腸がん検査なども定期的に受けることをお勧めします。特にがんは、早期発見が大切です。
    当クリニックでは、妊娠を希望する方や不妊治療をされている方のがん検診もしていますが、その際、超音波で子宮筋腫や卵巣腫瘍も診るようにしています。(林先生)』

    不安がある場合は、早めに医療機関を受診

    体のことで少しでも不安がある場合、早めに婦人科や不妊治療専門クリニックを受診するようにしましょう。特に、月経異常、強い生理痛、下腹部の痛み、性交痛、過去の性感染症などがある人は、放置すると将来の妊娠に影響を及ぼす可能性があります。
    不安を抱えたまま時間を過ごすよりも、医師に相談し、必要な検査を受けることで、安心できます。もし疾患が見つかった場合でも早期に対策を取ることもできます。
    「妊娠したい」と思った時からではなく、将来妊娠を考えている方は、ぜひ早い段階からご自身の体に目を向けてください。

    「女性不妊になりやすい人の特長」まとめ

    今回は、「女性不妊症になりやすい人の特長」として、セルフチェック項目等をご紹介しました。
    ・「もしかしたら不妊症かもしれない」と思った場合、下記項目を参考にセルフチェックいただき、不妊に関連するリスクがどの程度あるか確認いただくのも一つの方法
    1.月経異常がある
    2.子宮内膜症・子宮筋腫など婦人科疾患の既往がある、または月経痛や性交痛などの症状がある
    3.性感染症(特にクラミジア)にかかったことがある
    4.タバコを吸っている(習慣的に吸っていたことがある)
    5.過度なダイエットにより体重が大幅に減少している
    6.極度のストレスがかかっている
    7.30代後半〜40代で妊娠を希望している
    8.家族に早発卵巣不全や多嚢胞性卵巣症候群と診断された方がいる

    ・女性不妊は「排卵因子」「卵管因子」「子宮因子」「子宮頸管因子」「免疫因子」などに分類される

    ・妊活を始めてからだけでなく、もっと前の段階から将来の妊娠に備える(プレコンセプションケア)が大切

    妊娠・出産を望んでいるのに上手くいかない場合、不安な気持ちが大きくなると思います。そんな場合は一人で抱え込まず、ぜひ早い段階で医療機関を受診してください。

    この記事の監修医

    はやしARTクリニック半蔵門
    院長 林 裕子 医師

    1999年 早稲田大学第一文学部哲学科心理学専修 卒業
    2009年 名古屋市立大学医学部 卒業
    2015年 名古屋市立大学大学院医学研究科博士課程 卒業
    医学部卒業後は同大産科婦人科学教室に入局し、産婦人科診療と不育症研究に従事。
    2017年より東邦大学産科婦人科学講座にて生殖医療に携わる。
    2024年9月はやしARTクリニック半蔵門を開業。

    [所属学会・資格]
    医学博士
    日本産科婦人科学会専門医、指導医
    日本生殖医学会 生殖医療専門医
    日本不育症学会 不育症認定医
    日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会 臨床遺伝専門医
    日本超音波医学会 超音波専門医・指導医
    母体保護法指定医

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