ラクトフェリンが含まれる食品は何?効率的な摂取方法も紹介
ビタミンやカルシウムなどとは異なり「ラクトフェリン」という栄養素名を、目にしたことがない方も多いと思います。
赤ちゃんの栄養源である母乳にも多く含まれるラクトフェリンは、様々な領域から注目を集めています。
そこで、今回は
・ラクトフェリンとは?
・ラクトフェリンの効果
・ラクトフェリンが含まれる食品
・ラクトフェリンを効率的に摂取する方法
などをご紹介いたします。
▶ラクトフェリンは、なぜこれほど注目されているのか?その理由はこちらから
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目次
ラクトフェリンとは
1939年、ラクトフェリン(Lactoferrin)は、牛乳から発見されました。鉄と結合する性質をもった多機能性の鉄結合性糖タンパク質で、「ラクト(lact)=乳」×「フェリン(ferrin)=鉄」が名前の由来とされています。
ラクトフェリンは、少し赤みがかった色をしていることから「赤いタンパク質」という別名もあります。
ラクトフェリンは牛乳をはじめ、多くの哺乳類の乳に含まれていることもわかっています。特に人間の赤ちゃんの栄養源である母乳(特に赤ちゃんを産んでから最初に出る初乳)に多く含まれていることがわかっています。生乳のラクトフェリン濃度と比較すると10倍程度も多く含まれていると言われています。なお、成人では外気に触れる機会の多い、涙、唾液、粘液、子宮頸管粘液などにも含まれています。
ラクトフェリンの効果とは
ラクトフェリンの効果に関しては様々な研究が行われており、多様な作用が報告されています。
※動物実験で得られた結果も含みます。
-免疫調節作用(発がん予防、ノロウイルスなどの感染防御)
-抗菌・抗ウイルス活性(ピロリ菌や歯周病菌の抑制、口腔内や目などの粘膜での抗菌作用)
-腸内細菌のバランスを整える作用(腸内の善玉菌を増やす)
-鉄吸収調節作用(貧血の改善)
-抗炎症作用 (関節炎、大腸炎の改善)
-脂質代謝改善作用(内臓脂肪の蓄積予防)
-鎮痛・抗不安作用
-腟内、子宮内の常在菌のバランスを整える作用
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このように、様々な効果が期待されている栄養素・ラクトフェリン。
日々の食生活の中で、意識的に摂取したいと思う方も多いのではないでしょうか?
そこで、ラクトフェリンが含まれる食品についてもご紹介します。
ラクトフェリンが含まれる食品
ラクトフェリンは乳製品に含まれていますが、すべての乳製品に豊富に含まれているわけではありません。熱に弱い栄養素であることから、加熱処理がされる市販の牛乳やチーズには、残念ながらラクトフェリンはほぼ含まれていません。
ラクトフェリンが含まれる代表的な3つの食品
・生乳
・ナチュラルチーズ
・ラクトフェリン入りヨーグルト
≪生乳≫
生乳(加熱処理していない)や低温で殺菌された牛乳には、少量ですがラクトフェリンが含まれます。
例えば、低温殺菌牛乳の場合1ℓに200mg含有されています。一日300mg摂取したい場合、毎日1.5ℓ飲まなくてはいけません。小さなパック牛乳サイズ(250㎖)の場合は、1日6本飲むことで、300mg摂取できます。
ラクトフェリンは毎日摂取するとよいと言われている栄養素です。しかし、毎日これだけ多くの牛乳を飲むのは難しいと感じる方も多いかもしれません。
≪ナチュラルチーズ≫
生乳同様、ごく少量ですが、ナチュラルチーズからも摂取することが可能です。
チーズは、大別すると
・「ナチュラルチーズ」
・「プロセスチーズ」
の2つに分けられます。
ラクトフェリンを含むナチュラルチーズとは
ナチュラルチーズは、乳酸菌や凝乳酵素(レンネット)の働きで乳をかためて水分(ホエイ)を減らし、多くが乳酸菌やカビ等の微生物で発酵熟成して作られたものです。
原料となる乳の種類や乳酸菌など使用する微生物、加工方法などにより1,000種類以上あると言われています。
身近なナチュラルチーズは
・モッツァレラチーズ(フレッシュチーズ)
・カマンベールチーズ(白カビチーズ)
・ゴルゴンゾーラ(青カビチーズ)
・ゴーダチーズ、チェダーチーズ(セミハードチーズ)
などがあります。
【Varinosメモ】チーズにはどのくらいのラクトフェリンが含まれているのか?
生または低温殺菌された実験用ソフト、セミハード、およびスイスタイプのチーズ中のラクトフェリン濃度を調べた研究では、スイスタイプおよびセミハードチーズの方がソフトチーズよりも高い値を示し、1g当たり1mg程度入っているという論文もあります。
出典:D. Dupont ら、Int. Dairy J. 16, 9, 1081-1087, 2006
ラクトフェリンを含まないプロセスチーズ
一方、プロセスチーズは、ナチュラルチーズを砕き、乳化剤など加えて加熱して発酵を止め、味を調えてかためたものです。加熱処理により、ナチュラルチーズに含まれていた乳酸菌や酵素などの微生物も死滅しています。
身近なプロセスチーズは
・スライスチーズ
・6Pチーズ
・キャンディチーズ
などがあります。
ラクトフェリンを含むかどうかの見分け方
パッケージ記載の「種類別」でナチュラルチーズあるいはプロセスチーズと表記があるため、そこで見分けることができます。
≪ラクトフェリン入りヨーグルト≫
1商品あたり100mgのラクトフェリンが入ったヨーグルトや飲むヨーグルトも登場していますが、ヨーグルトは製造する過程で加熱されるため、ヨーグルトを作る際の生乳に含まれるラクトフェリンはほぼ残っておらず、ラクトフェリン入りヨーグルトは別途ラクトフェリンを添加しているようです。
このように、食品に含まれるラクトフェリンは少量であること、また胃液などの影響により、届けたい腸にまでなかなか到達できないため、食品だけでは十分な量のラクトフェリンを摂取するのは難しいと言えます。
このような背景もあり、ラクトフェリンはサプリメントから摂取するのが効率的といえます。
サプリメントからラクトフェリンを摂る方法
食品からは十分な量を摂取するのが難しいラクトフェリンは、サプリメントから効率的に摂取することができます。
薬局などのサプリメントコーナーではあまりみかけないかもしれませんが、インターネットで検索すると、様々なラクトフェリンサプリが販売されています。
しかし、色々あると
・どれを選べばよいのかわからない
・比較検討に時間を要してしまう
・選んだサプリで正解だったのか不安
という方もいるかもしれません。
そこで、ご自身に合ったラクトフェリンサプリメントの選び方についてもご紹介します!
自分に合ったラクトフェリンサプリメントを選ぶ際のポイント
≪1≫目的に応じ、「腸溶性」か「非腸溶性」を選ぶ
ラクトフェリンは熱だけでなく、胃液にも弱い栄養素です。赤ちゃんは胃の消化機能が未発達のため、母乳からラクトフェリンを摂取できますが、大人は胃液により分解されてしまい、ほとんど腸まで到達しません。
ラクトフェリンサプリには、腸溶性と非腸溶性のものがあります。ラクトフェリンの性質を理解したうえで、サプリメントを選ぶ必要があります。
-腸溶性ラクトフェリンにより期待できること
腸溶性加工がされているラクトフェリンは胃で溶けず、腸で溶け、腸にあるラクトフェリンの受容体(レセプター)に結合することで、細胞に情報が伝わり体の様々な部位で効果を発揮すると考えられています。
腸溶性加工がされているサプリメントは商品紹介ページにその旨記載があり、かつ、原材料名に、腸溶コーティング成分である、シェラック、アルギン酸Naなどの記載があります。カプセルだけではなく腸溶性加工を施した錠剤もありますカプセルは苦手という方は、腸溶性加工が施された錠剤を選ぶと良いでしょう。
-非腸溶性ラクトフェリンにより期待できること
一方、腸溶性加工がされていない場合、ラクトフェリンは胃液によって「ラクトフェリン分解物」に変性します。ラクトフェリン分解物には抗菌ペプチドが含まれていると言われています。この抗菌ペプチドにはウイルスに張り付き細胞に入り込ませない作用があり、腸炎などを防ぐはたらきがあります。
-腸溶性・非腸溶性、どちらを選ぶべき?
抗菌ペプチドを含むラクトフェリン分解物を取り入れたいのか、ラクトフェリンの幅広い全身への好影響を期待してラクトフェリンをそのまま取り入れるのかで、腸溶性がよいか、非腸溶性が良いか判断するのがよいでしょう。
自分にあうラクトフェリンサプリメントは「腸溶性」?それとも「非腸溶性」?詳しくはこちら
≪2≫適切な量が配合されていること
サプリメントに入っている栄養素が、ラクトフェリンだけのサプリメントの場合、ご自身の状況やラクトフェリンに期待する効果から必要な量を調整して摂取することができます。
しかし、複数の栄養素が摂取できるサプリメントの場合、ラクトフェリンが少量しか入っていない場合があり、期待する効果を得づらいことがあります。ラクトフェリンの摂取量を増やすため、たくさんサプリメントを摂取すると他の栄養素が過剰摂取となってしまうこともあるので、注意が必要です。
ラクトフェリン摂取が目的である場合は、その効果が期待できる量を摂取できるサプリメントを選ぶと良いでしょう。
≪3≫安心・安全の製造
サプリメントは、長期間、口にするものです。
安心・安全面では*GMP(Good Manufacturing Practice)などの工程管理基準をクリアしているかも一つの指標になります。また、企画・販売している会社(メーカー)が信頼できる会社などを確認されるのも一つの手です。
*GMP(Good Manufacturing Practice)とは、公益財団法人日本健康・栄養食品協会日本健康・栄養食品協会 または一般社団法人日本健康食品規格協会が厚生労働省の支援 を受けた第三者認証制度で、原料の受入,製造,出荷までの各工程で安全に製造され、一定 の品質が保たれるために必要な工程管理基準です。
≪4≫信頼性があるか
信頼性の判断基準は難しいですが
・医師の監修がある
→成分や成分量に関して、きちんと検討されている
・医療機関でも勧められている
→医療機関ではエビデンスがあるもの、信頼性の高いものを勧める
・臨床研究にも使われている
→エビデンスがあるもの、信頼性の高いものがつかわれる
・サプリメントや栄養素に関するエビデンスを持っている
→サプリメントの製造・販売がゴールではなく、その先の課題解決に向け取組んでいる会社である
といった点を参考に商品ページの情報を見ていただくのも良いと思います。
ラクトフェリンサプリメントを飲むタイミング
飲む回数やタイミングに決まりはありません。一度に一日の摂取目安量をまとめて飲まれても、複数回にわけてお飲みいただいても問題ありません。
なるべく長く体内にとどめておきたい場合、毎日、排便のタイミングが決まっていれば排便後に飲むといった工夫をされても良いでしょう。
できるだけ毎日決まった時間に飲むことで飲み忘れ防止にもつながります。
ラクトフェリンサプリメントの摂取量と副作用
≪ラクトフェリンの摂取量≫
ラクトフェリンの摂取量について、明確な基準は設けられていません。
お身体の状況や目的に合わせ、摂取量を検討されるのが良いでしょう。
≪ラクトフェリンの摂取量を検討する際のポイント≫
1. かかりつけ医がいる場合は相談する
2. サプリメントに記載されている目安量の範囲内にする
3. 目的と合致する臨床研究の論文で使用された量を参考にする
≪ラクトフェリンの副作用≫
現時点で、ラクトフェリンによる重大な副作用の報告はありません。
ただし、ラクトフェリンサプリメントの多くは牛乳を原料としているため、乳アレルギーがある方は事前に医師に相談いただき、自己判断での摂取は控えてください。
同様に薬を服用中の方や病気の治療で通院されている方なども事前に医師にご相談いただいてから摂取するのが良いでしょう。
「ラクトフェリンを含む食品(食べ物)」のまとめ
ラクトフェリンを含む食品についてご紹介いたしました。
日々の食事だけでは、十分な量のラクトフェリンを摂るのは難しいということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
●ラクトフェリンは母乳(特に初乳)に多く含まれる、栄養素。
●微量ながらもラクトフェリンを含む食品としては、生乳やナチュラルチーズ、ラクトフェリン入りヨーグルト(ヨーグルト飲料含む)がある
●ラクトフェリンを300mg摂取したい場合、低温殺菌牛乳だと、毎日1.5ℓ飲まなくてはいけない。
●ラクトフェリンはサプリメントから効率的に摂取できる。
●ラクトフェリンサプリメントには「腸溶性」と「非腸溶性」のものがある。腸以外へも効果を期待している場合には腸溶性のラクトフェリンを、腸に対しての効果を期待している場合は非腸溶性を選ぶと良い。
この記事の監修者
Varinos株式会社
創業者 代表取締役CEO
桜庭 喜行
埼玉大学大学院で遺伝学を専攻。博士取得後、理化学研究所ゲノム科学総合研究センターでのゲノム関連国家プロジェクトや、米国セントジュード小児病院にて、がん関連遺伝子の基礎研究に携わる。その後、日本に初めて母体血から胎児の染色体異常を調べるNIPTと呼ばれる「新型出生前診断」を導入したほか、医療機関や研究機関に対し、NIPTやPGT-Aと呼ばれる着床前診断などの技術営業を経て、2017年2月にゲノム技術による臨床検査サービスの開発と提供を行うVarinos株式会社を設立。同年、子宮内の細菌を調べる「子宮内フローラ検査」を世界で初めて実用化するなど、生殖医療分野の検査に精通。